アメリカの『大幅利上げ・インフレ抑制』で市場や相場はどう変化していくのか
アメリカの大幅な利上げが決まり、どれだけアメリカの金利は上がっていくのか、投資家は興味津々というところだと思います。
FXのトレーダー・投資家は『米ドル・最強通貨』に以前以上になっているのを感じているはずです。
しかし、FXの相場から株式市場に目を移せばリセッション入りの兆候を示唆するネガティブなニュースも散見されます。
アメリカという国がこのインフレに利上げで対処することを決めた時に、相場はどう変わり、どのように運用利益を確保していくかを考えていきます。
0.75%に利上げできるアメリカの強み
デフレを怖がらないアメリカ
アメリカは日本が悪いインフレや円安に苦しむ中、なぜここまで強気に決断ができるのか。
加熱しすぎているとも言われる米ドルの景気はリセッション入りを示唆するという発言がメディアに出るということは、すでに政府はとっくにリセッション入りを想定した動きをしている可能性が大きいと言えます。
リセッションかどうかの判断基準は何か
2四半期連続でGDP(国内総生産)がマイナスになると、リセッションとまず判断されます。
しかし、実際は正式には判定委員会が判定を行なっており、日本では内閣府の景気動向指数研究会によって判断されます。
アメリカの金融引き締めの判断基準は逆イールド
逆イールドがインフレの判断基準とも言える
逆イールドは中央銀行の金融引き締めがほとんどの理由になります。
金融引き締めをし始めるとデフレが発生しやすくなります。
つまり、金融引き締めをしてすぐには実市場への影響は少ないですが、数年かけて利上げを行いインフレ抑制をさせることを想定すると、短期の利回りは上がります。
逆に、金利を上げて金融引き締めをしていくということは、いつまでも上げ続けるわけではないため、利下げするタイミングが起こると想定します。
つまり、中長期は金利を上げてデフレ状態が起こり、景気が悪くなっていると想定するのです。
その結果、中長期の債権は利回りが上がらないため逆イールドの状態になります。
金融・経済の不安などの影響で短期金利が高く長期金利が安い状態
=逆イールドが発生する
▷▷▷イールドカーブと逆イールドの事実、景気後退・リセッションとの関係
アメリカが極度のインフレに利上げ=景気が良いと評価される
利上げ(金融引き締め)ができる状態というのは日本語で『引き締め』というと『帯を締め直す』『気を引き締めて』という意味でマイナスなイメージが先行するかもしれません。
しかし、ほとんどの方はご存じのとおり、金融引き締めでの利上げというのは景気が良くなくてはできません。
日本のように量的緩和・無制限の金融緩和というのは、日本経済がどれだけ厳しいかということを感じとることができます。
▷▷▷『日本のインフレ』のなぜ?が全てわかりやすく理解できる記事
アメリカはインフレで利上げするのはお金持ちは喜ぶ
アメリカだからどうか、という話では意外にもなく、相場というのは『波』がなければ儲かりません。
ボラティリティはFXでこそドル円やユーロドルなどでよくわからないレベルの動き方をしていますが、それは単純に通貨ペアである比較対象の『相方』がいることで動きます。
▷▷▷世界中でFXはユーロドル(EUR/USD)で投資される理由
お金持ちや資産家、ヘッジファンドや機関投資家のような大口の投資家は、ポートフォリオの形成で中長期・長期・超長期でのポジション量が私たちの想像以上に多い傾向にあります。
そのため、より大きい波を必要とします。
米ドルの強い相場に飽きたお金持ちはヤキモキしている状態
アメリカは利上げや金融引き締めでわざと首を絞めながら景気の循環、お金の動きをよくさせようという『急がば回れ』戦略とも取れる動きをしています。
アメリカの利上げはアメリカの株式市場にはデメリット
インフレの代償をどれだけ抑えられるのか
世界中の投資家が米ドルや米国企業の株式・社債・ETFなどを買い占めている中、利上げや金融引き締めは基本的に景気減速・リセッションする確率が上がります。
企業は利上げをすれば、単純に融資や借入での支払い総額が増えるため、借り控え、設備投資への資金の拠出を避け始めます。
それだけでも経済は鈍化します。
アメリカの利上げでもっと集まる海外マネー
利上げをした場合、得するのはお金を貸す側です。
=お金を金融機関などに預けるのも同じ意味を持つのが一般的。
逆に日本人が今『米ドル』を保有するのは日本の銀行などに預けるよりも金利がいいからだ。ということになります。
特にドルは世界中の基軸通貨であり、流通量が最も多い法定通貨であるため、金利を上げる世界のトレンドでも外国の法定通貨がドルに替えら、外国資金がアメリカに流入する可能性が大きいと言えます。
海外のお金が米ドルになる=ドル高
FXではドル建て優位の相場が継続する
海外のお金が米ドルにされ、金利の恩恵を受けたい投資家がいる限り『ドル高』相場になります。
FXで言えば、金利や利上げだけで言えばドル円で言えば、『ドル高』継続と言えます。
流動性が高くなれば、仮に他の法定通貨も上昇傾向であったとしても、流通量の多い『ドル』に引っ張られ『安』に振れることが留意されます。
アメリカの利上げで株価が大きく下がる可能性
アメリカは世界比較でも金融大国と言え、国民の金融リテラシーは高いとも言えます。
アメリカの国民は比較的リスクへの許容度があり、積極的な運用を意識していることが多いです、
その中で利上げというのは、株価を引き下げることに繋がるためポートフォリオも『引き締め』に入る投資家が増えます。
つまり、ポートフォリオを利上げ仕様に変化させる場合、米国株を売りドル保有の枠を増やすということが想定されます。
売ってドルにしたお金を株式に買い直しをすれば、『フラット』ですが、ドル保有のままで売り抜きしてしまえば株式市場から資金が出ていくことになり、株価の下落幅が大きくなる可能性を知っておく必要があります。
アメリカの利上げでビットコインなどの暗号資産・仮想通貨はどうなるか
ビットコインとアメリカの連動・相関性というのは世界中の投資家が探しています。
S&P500なのか、国債なのか・・・
私たちも『仮想通貨・暗号資産との相関性は『S&P500』にあるのか』という記事をリリースしていますが、明確な相関性が探せずにいました。
それに併せて、ステーブルコインの問題やビットコインETFの否認問題などで、アク抜き時期があったため、より相関性が探しにくい下げ相場が続きました。
現時点でも非常に短期での予想は意見が割れる反面、ビットコインやイーサリアムなどがインフラに定着しつつあり、絶好の『買い場』と考える投資家も多いのは事実です。
上がりはするが、いつ回復・急上昇のトレンドに入るかというのは利上げによりどれだけリスクオフの空気感が投資家の心理にマイナスに動くかによるとも言えます。
ステーブルコインとビットコインETFで何が起きたか
ステーブルコインではTerraUSD(UST)の価値が1ドルの価値を下回ったことでリスク回避の動きが強まりました。
▷▷▷ビットコインの価値が半分以下、今するべき仮想通貨への投資
ビットコインETFの問題ではグレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)の却下が決まりました。多くの関連したETF化を求めている商品を保留・却下・否認している状態です。
ビットコインは金利を上げれば上がるのか
株式市場は金利を上げ、金融引き締めをすればリセッション入りする。
すでにダウやS&P500なども下がっていることが、
リスクオフ心理が、『株式投資』にだけ作用するのか、或いは法定通貨のドルでの保有でコモディティなどのリスクを嫌う心理になるのか、という部分を判断する必要があります。
株式市場などのリセッション入りで売り優勢となった場合に備えてポートフォリオの再編成し、株式投資していた資金をビットコインに換えるという投資家心理が働けばビットコインは上昇トレンドに乗れると言えます。