『日本のインフレ』のなぜ?が全てわかりやすく理解できる記事
インフレという現象はデフレより景気がいいということではないのか?
中学や高校の歴史、大学では経済学などではそう理解されてもおかしくないような解説文を目にします。
それであれば、日本の長く続いたデフレ脱却は素晴らしく評価されるべきで、日本に住む私たちの生活は豊かで、充実しているはずなのに、なぜこの現実なのか。
それに併せ、アメリカは長期間の経済成長があり、S&P500は伸び続けている状態で投資家がこぞって米国株やドルを買い続けているのはなぜなのか。
『インフレ』に対して投資家としてどう対処するべきなのかを解説していこうと思います。
【わかりやすく】日本視点の『インフレ』の仕組みとは?
インフレで一番わかりやすいのはモノの値段が上がる(=物価上昇)です。
モノの値段が上がるということは、お金の価値が下がったとも言えます。
学校教育での金融リテラシーでは、物価がが上がりモノの値段が上がっても買う需要や経済力がある(所得も相対的に上がっている)ことが理想であり前提として解説されています。
需要が供給より高ければ、高くとも商品やモノは買われる。ということ理想でインフレは特に学生は良いことだと感じてしまいます。
しかし、
日本のように賃金や年収・給料は上がっていないと、インフレという現象はただ国民を貧乏にするだけとも言えるのです。
高くても需要があれば買うのではなく、買わないと生活ができない。
というのもインフレに含まれるのです。
インフレと『円』の苦しい関係
インフレはモノの価値が上がっているかお金の価値が落ちたかという2択とも言えますので、共通して『お金<モノ』という関係性になります。
そのため、円の価値が下がれば、『円安』になり、ようやく今のひどい経済状態の糸口が見えてきます。
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インフレで儲かるのは輸出=日本は円安好き?
インフレで円安になった場合に強い企業や株式投資における銘柄は輸出関連企業です。
そのためトヨタがこの多くの経済情勢でも最高益が出たのはそれが理由です。
トヨタなどの自動車産業は日本経済を支える大きな柱です。
そのため、インフレによる円安は国としては高額納税企業の納税額が増えるので、決して『嫌』とは言えないのです。
それに加えて、日本は長期間のデフレに苦しみ、『デフレ恐怖症』という疾患を患っているため、元には戻りたくないと色々な理由をつけてインフレを容認・擁護するような判断をしてきました。
インフレで経済がなぜ良くならないのか
インフレが不景気を引き起こす=悪いインフレ
納税額が増え、経済が回り、物価が上がるなら、やはりインフレは良いことだ、と感じるかもしれませんが、それがハイパーインフレやスタグフレーションになると、今の私たちのような生活環境・経済環境になるのです。*スタグフレーションとは、景気停滞を意味する「スタグネーション(Stagnation)」と「インフレーション(Iinflation)」を組み合わせた合成語です。『悪いインフレ』の状態を表します。
インフレは所得や年収・給料が上がらないと国民には意味はありません。
むしろ、悪影響が起こり、これは『悪い円安』と呼ばれるものです。
悪い円安と同じように『悪いインフレ』があるのです。
給料をインフレなのに上げない企業や会社、経営者が悪いのか
ここまでの話で言えば、輸出関連企業・事業によって日本経済は回り、儲かる。
物価を上げても大丈夫だと思うくらい経営者が儲かっていると感じるかもしれません。
しかし、今回の日本が苦しむ『悪いインフレ』はむしろ企業を苦しめ、収益がガタ落ちする事態になっています。
物価や商品の価格を上げ『物価高』にする企業の意味
ニュースや経済紙では、円安・インフレ・物価高・格差などバラバラにコンテンツ化させているため『なんとなく』という状態で読み終え、聞き終えるはずです。
物価や商品価格が上げるのは粗利益ではなく、コスト・原価・経費が増えているからです。
ここで昨今よく聞く、フレーズ『エネルギー不足』が関係してくるのです。
日本は多くのものが輸入に依存しているため、インフレの恩恵があるのは輸出なのです。
輸入して生産するものは全て、何もしていないのに高いのです。
物価やモノの値段が上がるのは、粗利益を増幅ではなく、商品を作るためには上げなくては倒産する・破産するという事態だからなのです。
ここでもっと深掘りしないと日本経済は見えてきません。
物価高・値段を上げる≠儲かる=日本のインフレ
日本がインフレで所得・給料・賃金が上がらない理由
長期間のデフレに苦しんだ日本は、元々『値下げして売る』がベースとなり需要・購入者の私たちは元々粗利益の非常に少ない状態でモノを買うのに慣れています。
数を売らないと利益が取れない薄利多売の経営戦略で物価高になれば粗利益は元のまま、或いは消費の落ち込み・買い控えで企業や会社は儲かりません。
つまり、会社や企業が儲からないと従業員の給料は上がらないのです。
=賃金上昇・給料アップとは縁遠いところに日本はいる
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インフレで得している人、リスクヘッジする投資家
投資家のインフレ対策・資産防衛の方法
インフレをちゃんと理解していれば、円やお金の価値が下がっているがモノの価値は同じか高まることになります。
そのため現金以外で資産を保有していれば、悪いインフレの影響を受けないのです。
日本人の多くは貯金・現金預金好きであることもあり、金融リテラシーが高い投資家でなければインフレで得した投資家というのは少ないと言えます。
▷▷▷まだ定期預金はやるべきなのか?活用方法・メリットはある?
引用元:金融庁 若者のお金との向き合い方より
インフレを長期で予想した投資家は現物投資していた
金(ゴールド)はインフレに強い資産
現物投資の例えば、『金・ゴールド』などへの投資は、お金と全く同じ価値として換金できるにも関わらず『モノ』扱いだということがポイントです。
▷▷▷銀投資は金より儲かる理由
つまり、現金の価値が下がれば金などの現物資産を購入する際に多く支払う状態になります。
それに加え、金のように埋蔵量の制約により、価値が逓増していくものはレバレッジがかけられます。
インフレで得するのは借金やローン
借金・債務とインフレの関係
インフレの特徴は現金の価値・お金の価値が下がる状態です。
「インフレだから元々の借金の元本を増やす」ということはありません。
住宅ローンはの変動金利以外のクルマのローンやショッピングローンなどでは影響を受けません。
むしろ、物価上昇によるリセールの向上(換金率)は、買った時と同じ以上に高く売却できる可能性が高くなるのです。
仮にも、インフレで現金の価値が極端に下がり、物価が高騰した場合。
極端に言えば1000万円の融資で喫茶店を開業したオーナーが、インフレ恐慌に直面しコーヒー一杯100万円にしなければならなくなったとします。
仮に儲からなくとも、キャッシュフローは融資時と同じなので、10杯コーヒーを売れば仮に廃業しても借金は0になるという不思議なサイクルが生まれます。
借金・債務とインフレをマクロ経済で考察
経済学でマクロ経済学を学んでいればわかりやすいですが、借金や債務はインフレにより実質価値の減少させます。
=お金の価値が下がったから
逆にデフレになれば、実質価値が上がります。
=お金の価値が上がったから
つまり、
今のような極端なインフレや悪いインフレ状態でなければ、企業や会社にとっては負債の価値が目減りするため恩恵があると言えます。
逆に『失われた30年』を過ごした日本はデフレに苦しみ、企業や会社の負債が増幅したことによって景気の循環が止まったと言えます。