トヨタ株を今なぜ買うのか
投資のベテラン勢は静かにトヨタ自動車の株を買い集めています。
日本一の企業と呼ぶ投資家が多い反面、トヨタの株を保有できるのは資産・資本が多い投資家だけという諦め感もありました。
しかし、昨今のトヨタの動きをしっかり見ていると実は非常に『買い場』だと感じる投資家も多いはずです。
冒頭ですが、20代からでも少し頑張ればトヨタ株が保有できる時代になりました。
なぜ今トヨタ自動車の株を今買い集めるのか
円安トレンドに乗り、トヨタの純利益が最高益を更新したというニュースを見ると、上がり続けるのは難しく、一旦小休憩かという風に投資家は考えるでしょう。
しかし、間髪入れずにトヨタはある決断をしました。
投資家の多くはトヨタは円安に最も強い日本企業と考える
トヨタがどれだけ円安時代を待ち侘びていたか
円安やインフレという状態は投資家にとって非常に悩ましい相場です。
特に、ドル円のような自国通貨との通貨ペアは円高要因が見つからないことに悲観的な意見が後を絶ちません。
しかし、日本一の企業、トヨタはこのご時世の成功益を叩き出せたのは、感応度で米ドルが1円円安になると約450億円もの営業利益が上がるという事実があるためです。
ちなみに2021年からの過度の円安ドル高基調の今は、トヨタの営業利益を全く同じことをしていても約4450億円上がったこととも言われています。
なぜ多くの投資家はトヨタへ投資するのか、日産やホンダではダメな理由は?
経営戦略として長期的にホンダや日産はトヨタと異なる指針を掲げていました。
トヨタは海外工場ももちろん保有し、USトヨタも存在しますが日産やホンダはそれ以上に海外生産に生産性を上げていました。
トヨタは生産こそ日本ですが、販売軸は海外依存と酷評されるようになった2000年代後半に、海外での販売が全体の80%前後まで伸びたのも結果としては好転機となりました。
トヨタは逆に日本での生産を意識していたため円安の恩恵を受けやすいと言えます。
トヨタのようなドル建て輸出は、円安がプラス要因として機能
国内企業でも生産ラインが海外にある場合などは円安はプラス要因にはならない
トヨタの材料費高騰は影響するか
トヨタのクルマを国内で生産した部分を順調な指針通りでしたが、原材料費の高騰という部分には頭を悩ます部分だと言えます。
しかし、トヨタはレクサスがそもそも価格レンジも高く富裕層向きとしているため、値引き自体がないのが前提になっています。
トヨタも他の自動車メーカーも下取りのクルマで円安を利用した貿易(輸出)で粗利益の底上げは可能だと言えます。
人気のアルファードやランドクルーザーなどはスタンダードで購入することはなく基本的にパッケージやグレードが付いているものを選んでいます。
そのため車両本体価格を上げずとも粗利の残す方法は多岐であるとも言えます。
トヨタの30年ぶりの株式分割
知っている人はいまさら・・・と思うかもしれませんが、2021年9月トヨタ自動車は株式分割を行いました。
分割比率は1:5となり、100万円ほどの資金がなければ最小単元すら買えなかったトヨタ株が、20万円ほどで購入・保有できるようになったのです。
その結果、割高感が薄れ、市場の流動性が非常に高くなりました。
トヨタ株は安定と成長の両方を兼ね備えた企業
この株式分割後、株価はさまざまな要因で下げ基調にありましたが。時価総額は約2倍以上に深む結果を残しました。
トヨタという企業自体がリーディングカンパニーとして、安定感を増す中、米国株で人気のアップル社などには業種上のハンデを背負うものの、SDGsやESGでも非常に期待をされているためグロース部分にも注目できると言えます。
トヨタが安定した投資先だと言える理由
トヨタを投資家が選ぶ『担保』の意味
政治家の乗るクルマを思い出してみてください。
総理大臣はセンチュリーやレクサスのフラッグシップモデルLS、国会議員の多くはアルファードのエグゼクティブラウンジ。
さらに、パトカーがクラウンや廃モデルとなったマークXなど、警察車両でなくとも高速道路パトカーと呼ばれる黄色のパトロールカーも正直筆者の私のクルマより高いランドクルーザーやランドクルーザープラドなどをよく目にします。
実際、入札によって国の予算で購入され、トヨタ側も値段などによって配慮があるとされていますが、今回は『なぜ日本はトヨタを買うのか』というタイトルではないため、深掘りはしませんが、トヨタは日本という顧客が最大の担保ということはできるでしょう。
トヨタが安定した投資先だと言える理由②
経営の上手いことは借金でわかる
『ソフトバンクは倒産しない・破産もしないと言われる理由』という記事でも紹介した通り、トヨタはこれだけの最高益を確保しているにも関わらず日本一借金を抱えている企業です。
ソフトバンクは2位なのですが、トヨタとソフトバンクが支払う利息が経済を回しているという風に判断され、融資元の金融機関は日本銀行との関係が密であり、金融機関は企業の利息で支えられるという循環が生まれます。
その借入した資金で、経営にレバレッジがかけられるという戦略は非常に合理的で、経済評論家やアナリストは評価をしています。
ESG投資として機関投資家も買う『トヨタ自動車』
具体的に中長期的にESGに考慮できていると考えられる企業としてトヨタ自動車の名前が挙げる投資家も多いはずです。
▷▷▷ESG投資とは?方法やSDGsとの関係性、儲かる仕組みはあるのか?
トヨタ自動車は電気自動車MIRAI やカーボンニュートラルについてCMを大きく打ち込んでいます。
トヨタ自動車はEV化に向けて 350億米ドルを拠出し2030年までに年間350万台を販売(2021年12月発表)。トヨタの販売実績は世 界で950万台を超えています。
MSCI社 のレポートでは2017年BB評価で、2021年にはA評価まで上がっています。
今後、トヨタ自動車は『ESGの平均』からリーダーになれるかが投資家の注目するべき点だと言えます。
EV化でトヨタはテスラに勝てるのか
トヨタは今後の欧州などのEV化、ガソリン車を排除していく動きにどれだけ勝負ができるかという部分が長期的な社運がかかっているとも言えます。
トヨタ自体は既存の販売しているモデルEV仕様を追加し、2030年までに30種のEV車を販売させます。
一方アメリカの自動車メーカーであるテスラは、トヨタと異なりカーディーラーや代理店化させて販売をしていません。
つまり、世界一ランニングコストが高い自動車メーカーと言えます。
しかし、日本が電気自動車ばかりになるとCO2の排出は自動車からは出ずとも、電力を確保するために原子力発電設備は10基、火力発電であれば20基必要となります。
日本特有の生活環境と海外の特性に共通点が少ないため、『万人受け』するトヨタは顧客の一部を失う可能性もあります。
トヨタへの投資における不安・心配・リスクは?
トヨタを輸入する海外の抵抗
世界のシェアではフォルクスワーゲンが1位で2位がトヨタです。
では欧米などで関税などの制度が今以上に大きく変わればトヨタには大打撃を受けることになります。
当然ながら、自国通貨を守るように自国のGDPを確保するという政府の考えを予測するとあり得ないことではないのです。
日本が逆に輸入車への関税を上げるとしても販売台数で圧倒的に差が生まれるため交渉の余地がなくなり、むしろ輸入車の日本法人がディーラーを儲からないように圧力をかけやすくもなるのです。
この立場の弱い戦いには留意を常にしておくことも大切だと言えます。