「銀行に資産運用を任せるな」とプロの投資家が思う理由

「銀行に資産運用を任せるな」とプロの投資家が思う理由

「銀行に資産運用を任せるな」とプロの投資家が思う理由

一昔前、郵貯をしていれば一生安泰、そんな時代がありました。

そのため日本は未だに自分のお金を運用せず、運用するために必要な金融リテラシーを避けて生きてきました。

その結果、投資や資産運用、事業経営などお金を守るのではなく、増やす、集めることを意識した人とそうでない人との間に『格差』というものが生まれました。

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この格差はこれからも『雲泥の差』で、もう地は雲に手が届く可能性すら危うくなってきたのです。

そんな時に、多くの雑誌やメディアは、まず『プロのアドバイスを』と言います。

しかし、本当に銀行というプロ集団にお金を預けていいのでしょうか。特に普通預金ではなく『資産運用』を任せていいのでしょうか。

今回はそんな銀行に資産運用を任せるべきか否かを解説していきます。

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銀行員が銀行に資産運用を任せない理由

銀行という金融ビジネス

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銀行に勤める金融リテラシーの比較的高い層はなぜ銀行で資産運用を任せないのか。

これは、単純に銀行員は自社の金融商品などで運用してはいけないという制約があるためです。

保険営業マンが実は自社の保険商品の加入に制限があるように、銀行には銀行の規則と制約が存在します。

そんな話ではなく、仮に銀行員を辞めて転職し銀行や金融機関へ資産運用を任せてもいい状態になった時、ファンドラップなどをするか。というと、意外にもしていません。

それはなぜかというと、シンプルに銀行は銀行というビジネスをしており、VIPに優遇しノルマや目標に追われる民間企業と何も変わらないのです。

コンプライアンスが他の業種に比べ厳しいだけで、やっていることは変わらないのです。

銀行の商品による利益追求が優先される

銀行は前述通り、銀行は儲けても良い営利団体です。

銀行の窓口販売(窓販部隊)を含め資産運用部門は、銀行自体が提供する金融商品や投資商品を推奨し、販売することで利益を追求しています。

クルマ屋が欲しいクルマの車種を言ってきたお客さんに、自社在庫で施策のついていてボーナスが貰える車種を売り込むのと同じ現象が起こります。

つまり、整理すれば

お客さんの意向<売りたいものを売る

お客さんの意向<売らないといけないものを提案する

というのは当たり前に起こるのです。

そして「営業担当さんが親切でね。」というのは自分の話を聞いてくれることが親切と置き変わることはよくあります。

これは銀行でなく保険営業でもよくあります。

結論として、自分に合った投資商品や金融商品を選ぶにはある程度、自分に知識が必要だということになります。

本当にお客さんのための運用計画を作れる『担当』は銀行にどれだけいるか

資産運用で投資信託やETFなどを推奨する銀行員は、果たして一人一人のお客さんの意思・意向に沿って運用計画が立てられる人材は非常に少ないです。

ほとんどの場合はスーツを仕立てる時に似ていて完全なるフルオーダーではなく、セミオーダーのようにある程度会社が『対象』とするお客さんを推測して概要プランを作っています。

あとは元金を100万円にするのか300万円にするのか、アクティブに運用するのか、国内か海外かをヒアリングしていくだけなのです。

吊りのスーツのように、銀行のホームページやDMでおすすめしたものをそのまま契約する人もいますが、銀行は基本的にセミオーダーの資産運用だと思うべきでしょう。

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銀行より信託銀行で資産運用をする富裕層の存在

一般的には信託銀行は高度な資産運用の専門知識を持ち、主に富裕層向けにカスタマイズされた資産運用サービスを提供する専門機関とされています。

一方、一般的な銀行は広範な金融サービスを提供する総合的な機関で、預金、ローン、決済サービス、投資信託など一般の個人や法人向けサービスを提供します。

信託銀行は顧客の利益を最優先に考える独立した立場で運営されることが期待されますが、一般的な銀行は自社の商品やサービスの提供を促進することで自社の利益を追求する場合があります。

銀行にももちろん、プロファンドマネージャーや運用担当者がいますが、信託銀行のように主軸が『投資や資産運用』であれば専門的な知識を持った人材の頭数は多くなりやすいです。

そのため、富裕層などの現金資産を持ち預託できる人たちは、預託額に応じて優遇されるため銀行より信託銀行を選ぶ傾向にあります。

もちろん、メインバンクへの預入金は社会的信用になるため、メインバンクにはしませんが資産運用と預金は分ける傾向にあります。

銀行より信託銀行が選ばれる理由

信託銀行の特徴と銀行との違い

少額では信託口座に預け入れができない信託銀行が多く、金融機関によって異なりますが最低額2,000~3,000万円と設定している金融機関が多いです。

三菱UFJ信託銀行の窓口では、原則として10万円以上1円単位で口座開設は可能で「インターネットバンキング 三菱UFJ信託ダイレクト」では、原則として1万円以上1円単位で口座開設ができます。

しかし、三菱UFJ信託銀行は『エクセレント倶楽部』という1000万円以上の預け入れで入会できるステージがあり、多くの顧客はこのエクセレント倶楽部あり気で三菱UFJ信託銀行を選ぶ傾向にあります。

信託銀行も銀行も使わず資産運用をする人たち

一部の投資家は、自己運用の志向や費用削減、投資の自由度、高度な知識や経験を持つことから、信託銀行や一般的な銀行を利用せずに資産運用を行うことがあります。

自己運用は市場の変動やリスクを伴うため、投資家はリサーチと分析による情報収集や計画を重視しなければなりませんが手数料もかかりませんし、ハイリスクな運用もできるため、銀行や金融機関に頼らず資産運用している人も大勢います。

AIによる資産運用を提案する銀行

ロボアドバイザーの限界

近年あらゆるところでAIの活用がされています。

資産運用におけるポートフォリオの形成や市場のデータ分析、市場予測、自動売買なども行われています。

一流養成学校でもAIのコンテンツをいくつか出していますし、他のコンテンツではテクニカル分析だけでもファンダメンタルズだけでも投資は成功しない可能性が高いと論じています。

➡︎投資でロボアドバイザーをドンドン使うべき理由

確かに合理的で生産性の高いAI技術は優秀です。

しかし大きな損失を出してもAIには文句を言えませんし、一生懸命築き上げた資産を資産運用する際『合理的』というのは顧客にとって不要で、むしろ金融商品を販売する側に意義のあることだと気づいてしまう投資家も多いのです。

それにAIは100万円の運用を任されても、1億の運用を任されても良い意味でも悪い意味でも忖度しません。

それが逆に預け入れの意欲を削ぐというのは当然でしょう。

銀行でも高額の引き下ろしでは支店長の挨拶や個室への案内、信託銀行でも同じように『特別扱い』があります。

お金を持っていない人には不快ですが、お金をある程度持つとAIの平等は逆に不快なことがあります。

AIがプロの投資家に勝てない理由とAIの限界

『普通』のポートフォリオは本当に稼げるか

➡︎仮想通貨や暗号資産を資産運用に組み入れる必要性とポートフォリオ

銀行の資産運用は多くの場合、標準化されたポートフォリオを提供します。

つまり『普通』ということです。

100人の顧客がいれば資産の大きさは違えど、同じような割合で同じように分散して投資を行います。

100人中99人が上がらないと思うタイミングで、反転すると予想して資金を投じない限り大きく資産運用で資金を増やすことはできません。

皆が上がると思って買っているものを自分も買えば、大口の機関投資家の介入、天災や地政学的なリスクに飲み込まれ、集団で資産を減らすことになります。

顧客が損しても金融機関は手数料で稼ぐことができるので、痛み分けにはならないのです。

この仕組みを考えると、銀行や金融機関へ資産運用を任せるのは躊躇して当然なのです。

海外のプライベートバンカーは、運用利益の○%を報酬にするという『出来高報酬制度』を採用しているため、顧客の金を溶かす=自分の年収も増えない、となるので必死に増やそうとするのです。

私自身、日本国内の銀行や信託銀行で成功報酬型で給料が増減する金融機関はプライベートバンク以外、実は知りません。

ここでお気づきでしょうか?

日本国内の銀行や信託銀行で成功報酬型の制度を取り入れないことによるメリットはどこにあるのか?

と。

次章に続く。

なぜ『普通』の銀行は成功報酬で商品を売らないのか

表向きではコンフリクトの回避だと言えます。

つまり、この商品を売れば自分の給料が上がるという状態にすると、リスクを取って無理に商品を勧めることが予想されるためです。

顧客の利益を優先せず、自分を優先させ、顧客に必要以上のリスクを背負わせるコンフリクトを防止する狙いがあります。

しかし、現場の営業や運用トレーダーは何を考えるかというと、成功報酬型にするなら、こんな銘柄は買わないというものに事実です。

『こんな銘柄』と言われるのは大きく増えもしないが、減りもしない銘柄で『そんな銘柄』に顧客の資金を投入しているケースが多いのです。

ローリスク・ローリターンを選べば稼げないことなど百も承知で、もしも日本の金融機関が成功報酬で運用を請け負い、顧客が儲かる資産運用をすれば、今の何倍〜何十倍のリスクを負う必要があるのです。

銀行に資産運用を任せるな?プロが知る日本のお金の仕組み

日本有名なプライベートバンクと言えば、三菱UFJモルガン・スタンレー証券やSMBC日興証券、みずほプライベートバンクなどです。

その中でも三菱UFJモルガン・スタンレー証券の社員はここ数年間平均年収2500万円を超えており、ウェルスマネジメントにも積極的です。

2021年には富裕層に機関投資家向けの商品を小口化させ販売をし、110億円の資金を集めました。

単純に、銀行や信託銀行とは『格』が違い、販売する商品の対象も資産が多い顧客を想定して作られています。

そして、この販売する商品への注目は数年間でかなり大きく、顧客へコミットする自信がなければ、日本経済を動かすほどの資産家にアプローチできないとも言えます。

それを考えると、資産運用をする際の資産の大きさが既に資産運用の出口である運用結果に差が出ると考えるのが妥当でしょう。

少額で資産運用するなら、銀行や信託銀行に預けるより自分で投資する方が稼げる

資産運用や投資はプロへの相談などはするべきだ、というコンテンツもあります。

これは間違いではありません。

運用を依頼するのも間違いではありません。

しかし、少額で資産運用するなら、銀行や信託銀行に預けるより自分で投資する方が稼げるというのも事実です。

なぜなら、資産運用を少額で行う場合、分散させれば積極的な運用に使える金額は非常に少額になります。

分散投資やポートフォリオの構築は重要ですが、資本が少ないうちは手数料を節約する意味でも少しでも『どうやってお金を運用するのか』を肌感覚で感じる経験も重要だと言えます。

自分で投資を行えるという選択肢があれば、わざわざ銀行を挟まずとも運用することもできますし資産が仮に500万円であれば、300万円を銀行や信託で運用し、200万円は自分で積極的に運用するということも可能です。

何より、資産運用のレポートが届いた際に、反省点や改善、修正してほしいことが言葉で表現しやすくなります。

金融リテラシーが低いと『いくら』損した、稼げたという結果しか理解ができないのは、長期的に見ると期間損失に繋がる可能性があります。

実際、自分で投資をしてみると、案外簡単と思える方もいるはずです。

まとめ「銀行に資産運用を任せるな」とプロの投資家が思う理由

近年、日本の格差問題が生じている一因として、多くの人々が資産運用や金融リテラシーを避けてきたことが挙げられます。

銀行や金融機関は他の営利団体同様に自社の営業目標や運用制約により、顧客の利益を最優先にした提案がされない可能性もあることを知っておくべきでしょう。

さらに、その中でもプライベートバンクなどの高度な運用提案ができる場合とできない場合もあることにも留意が必要です。

銀行に運用を任せるのか、信託銀行なのか、プライベートバンクを視野に入れられるか、或いは手数料節約と学びの機会として、自分で運用をしていくのかを判断するには非常に難しいですが重要なことだと言えます。

銀行などで「投資信託をしているから私は大丈夫」と思っている方も、自分で運用をすると「こんなETFがあったならこっちでずっとしておきたかった」と思う方もいるかもしれません。

資産運用は金融機関に任せるにしても知識と経験があればあるほど有効的な運用を行えることを知っていただければ光栄です。