ネットバンク“だけ”はおすすめしない理由
どの業界でも『ネット型』が浸透し、銀行や証券会社の参入も増えています。
ネット型保険・ダイレクト型保険などと呼ばれる保険会社も同じタイミングで『ネット型』『WEB完結』『実店舗の実態がない』状態でのサービスが多くあります。
『実店舗を構えない=固定運用コストが低い』=手数料などにメリットがある
➡︎本当に利用する側は得やメリットばかりなのか?
ネットバンクとは?
ネットバンクとは、対面の店舗を持たず、インターネット上での取引を中心として営業している銀行のことを言います。店舗を持たないため、振込やATMの手数料などを安いことが特徴です。
既存のメガバンクなどと異なる点は通帳がないという部分と提携ATMをメインに利用する点です。
ネットバンク“だけ”はおすすめしない理由
ネットバンクは併用でこそ、メリットが多い
この記事の結論を先にいうと、ネット型銀行・証券会社“だけ”で資産を持つのはおすすめしないということです。
実店舗を構えるメガバンクなどを1行は利用し、新しい金融商品などのアドバイスを受ける環境は整えておく必要があります。
もし可能であれば、『信託銀行』をおすすめします。
信託銀行は比較的多くの資本や預貯金を預け入れる方が多く、資産運用のアドバイスを無料でしてもらるという利点があります。
筆者の私も三菱UFJ信託を利用しているのは、『営業電話』も自分の資産状態に併せて提案してくれるため、見当違いな営業をされず有益な情報を得ることができるためです。
過去には、自身の家族の相続事案があり、その際もかなりアドバイスをしてくれました。
賢い若い層はネットバンクをメインバンクにする人が多い理由
ネットバンクを含めいくつかの口座に分散して預貯金をするというのは決して間違っていることではありません。
しかし、ネットバンクも含め金融機関と顧客の信頼という点においては、預貯金残高の多さです。
多くの支出を引き落とす口座で、生活背景が見える口座は顧客の信用や担保になりやすいため、融資が受けやすい状態になります。つまり、
メインバンクは将来的に融資を受ける先になりやすいと言えます。
その点でネットバンクは金利が低いなどという点で、ネットバンクに信用を一番置いておきたいとか考える方が多いのです。
ネットバンクのメリットは住宅ローン
一方ネットバンクは既存の実店舗を持つ銀行の窓口営業が9:00~15:00にたいして24時間365日利用ができます。
そんな利便性以外に、ネットバンクは住宅ローンなどの融資サービスで活用するには非常にメリットが大きいと言えます。
住宅ローンにおけるネットバンクのメリット
=金利が低い 手続きが簡単 諸費用が安い
既存の金融機関で住宅ローンを申し込むにはまず、営業時間内にアポイントを取り、購入する物件の情報などを担当者に伝える資料を用意するところから始まります。
平日仕事をしている方には、非常に不便ですが、ネットバンクはいつでもどこでも融資の審査も本申込みも可能で、「これで家が本当に買えるの?」というレベルで完結します。
逆に、住宅ローンの融資をネットバンクで行う際、もちろん担当者と対面することは一度もありません。
そのため、購入の仲介に入る不動産会社への情報共有なども自身がしっかり伝えられるようにしなければなりませんし、ネット銀行は融資実行(決済)までが遅いというのもデメリットです。
費用項目 | ネットバンクでの諸費用のコストパフォーマンスの良さ |
---|---|
団体信用生命保険料 | 住宅ローン返済中に、死亡や高度障害になった場合、残債が0になる保険。多くのネットバンクは金利に含まれる |
保証料 | 徴収しないことが多い |
繰上返済手数料 | 繰上返済がしやすい |
新築のマンションを購入する際にネットバンクのメリット
ネットバンクは決済までの時間がかかるという一面があるため、中古物件の購入にはあまり向きません。
しかし、新築のマンションを購入する際には、審査から融資実行・本決済まで2ヶ月かかっても十分間に合うと言えます。
ネットバンク“だけ”での利用をおすすめしない理由
悩みの解決先がないネットバンクのデメリット
『実店舗を構えない=固定運用コストが低い』=手数料などにメリットがあるというのは事実ですが、実店舗を構えない『弊害』というのは利用者にあるというのも事実です。
「誰かに相談したかったが、相談する人がおらず、やむを得ず自分で判断した」
「家族に相談した」
「友人・知人に相談した」
「他社、金融機関(担当者)に相談した」
「税理士、会計士、FPなど の専門家に相談した」
「その他の人に相談した」
このような弊害が起こっていることも事実なのです。
ここで注意したいのは『日本人は金融リテラシーが低い』ということです。
疑いたくなくとも、自分自身の自己判断や家族のアドバイスで資産を決めるというのは非常にリスクがあるということです。
もちろん、親や友人が金融や資産運用の知識に長けているならばよしとしても、結果として実店舗を構える金融機関や税理士・FPなどに相談するというのは、結果として生産性は良くないとも言えるのです。
ネットバンク“だけ”は心配も多い
ネット型銀行が浸透した弊害
銀行などを装ったメールを送り付け、その銀行に酷似させた偽Webサイトにネット口座などのパスワードを入力させて、それを入手し、不正に預金を引き出すとフィッシング詐欺などでパソコンやスマホを使ったインターネットバンキングで被害に遭った件数が年々上昇傾向にあります。
ネット型の銀行でも「預貯金者保護法」は適応され、偽造や盗難などによって不正に預金を引き出された被害者に対し、原則として金融機関は補償されます。
資産に対して『実害』がなくとも不正出金が起こった場合、新しいキャッシュカードに切り替えられることが多く、手間と不安感は拭いきれない部分があります。
ネットバンクを使っているから意識が高いというわけではない
ネットバンクによって、手数料などが安く抑えられているという点で「金融リテラシーが高い、自分は大丈夫」と思ってしまう方も中にはいます。
しかし、ネットバンクを利用することによって資産運用のアドバイスや客観的な意見から遠ざかる行為とも言えます。
銀行員のアドバイスだけは聞いてはいけない理由
だからといって、銀行の営業マンや担当者で正しい金融リテラシーに則ってアドバイスをくれるわけではありません。
そもそも銀行という組織も営利目的で運営されています。
そのため、予算を達成させるためにさまざまな営業トークを駆使して、提案をしてきます。
金融リテラシーが低いと簡単に表面上の『魅せる』メリットだけで裏側にどんなデメリットが隠されているか気付けないのです。
近年は、そのようなことを金融庁も注意喚起したり、ガバナンス体制統制を整え行政処分を行ったりもしています。
しかし、約款や重要事項説明が義務付けられ配布しても結論、説明する側は契約を取りたい側であるため、自己資産を守る『精査するスキル』を身につける必要があります・
そして、金融機関からアドバイスをもらえる関係性を築かなければ一向にスキルも経験もアップしないというのも事実です。
お金持ちがネットバンクを使わない理由
お金持ちがネットバンクをメインで使わない理由に気づくと、自分自身の立ち位置やリスクを把握することにもつながります。
お金持ちはネットバンクの特性の真逆とも言えるプライベートバンクを利用する傾向にあります。
お金持ちがわざわざ口座開設をしたいと思う理由がどこにあるのか?
そう思うと簡単に口座開設ができるネットバンクをなぜ使わないかを紐解くことにもつながります。
よく聞くスイスのプライベートバンクなどは最低資産が5億以上必要ですが、国内のプライベートバンクは数千万単位から利用ができます。
プライベートバンクとは?
プライベートバンクが提供する資産運用サービスは投資助言に近く、ポートフォリオの提案が第一に来ます。
証券会社との違い
証券会社はあくまでもリテールビジネスが株式や債券・投資信託を販売するたびに手数料を得る
お金持ちがプライベートバンクを使いたがる理由
日本国内のプライベートバンクは、日本の複雑な税務や法務に順応できるという強みがあります。
ネットバンクでは不要の手数料などプライベートバンクにはあっても、『上質』なアドバイスを求めるのです。
ネットバンクではそもそも『アドバイスがない』と考えると、やはりネットバンク“だけ”の使い方はおすすめできません。
ネットバンクのロボアドバイザー
最近ではネットバンクは「WealthNavi」などのロボアドバイザーを導入しています。
住信SBIネット銀行などは「WealthNavi」を導入し早5年以上が経過し、預かり資産300億円を超えています。
ロボアドバイザー『WealthNavi(ウェルスナビ)』とは
「長期・積立・分散」の資産運用を自動化でき、AIによるアドバイス機能などが実装されています。
資産配分の決定から発注、積立、リバランス、税金最適化まですべて自動でできます。
世界の富裕層や機関投資家が実践する「長期・積立・分散」の資産運用を、テクノロジーの力で自動化しており、6~7つのETF(上場投資信託)を通じて、世界約50カ国1万1000銘柄に分散投資します。
ネットバンクの有効活用
うまく使いこなせばネットバンクはメリットもある
会社からの給料受け取りをネットバンクにすると、ポイントが貯まる仕組みなどがあります。
他にも、
楽天銀行:楽天スーパーポイントを貯めることができます。
PayPay銀行:口座ならTポイント「1000ポイント以上」あれば現金に換金することができます。
ジャパンネット銀行:PayPayマネーの出金が無料という特長があります。
あおぞら銀行 BANK支店:普通預金金利が高めの年0.200%
スルガ銀行ANA支店:専用カードの利用で銀行との取引でもマイルが貯まったり、世界各地のVisa加盟店でショッピングを楽しむといったことが可能です。
スルガ銀行Tポイント支店:Tポイント一体型の専用カードで支払えばダブルでポイントが受け取ることができます
参考図書
金融と法律、この筆者だから書ける本だと感じました
元銀行支店長弁護士が教える 融資業務の法律知識 [ 池田 聡 ]