AIがプロの投資家に勝てない理由とAIの限界
個人投資家・機関投資家含め、投資を行う人間に対してAIの方が完全優位だと言われることがあります。
今回は投資を行う人間に対してAIが完全に優位であるとの主張に対して、人間である私たち投資家が持つ優位性やAIの制約を考慮し、投資判断におけるAIの限界を解説していきます。
そもそもAIがプロの投資家に本当に勝てないのか?
投資家が持つ優位性やAIの制約を考慮し、投資判断におけるAIの役割を理解しましょう。
仮に、投資における『AI vs. 人間』でAIの優位性は下記の6つが挙げられます。
- AIの計算能力と情報処理の優位性
- 感情やバイアスからの解放
- データの大規模処理と予測能力
- アルゴリズムトレーディングが可能に
- 人間の制約と誤った判断の可能性
- AIの意思決定の透明性と追跡可能性
それに加え、AIは人間と異なり24時間365日の稼働が可能であり、アルゴリズムを駆使すればあらゆる情報から投資での勝率や差益を予測することができます。
このことを踏まえると人間が投資でAIに勝ることは不可能とも考えることができるのです。
投資は人間に優位であり、AIは人間に投資では勝てない
AIがプロの投資家に対して勝てない理由は大きく分けると4つあります。
- 感情と洞察力の差異
- 専門知識・経験からの勘の重要性
- 創造性と適応性の差異
- 倫理的な判断の限界
プロの投資家が感情や洞察力を駆使して投資判断を行う一方、AIはデータとアルゴリズムに基づく分析に限られています。
感情とデータの対比に焦点を当てた場合、プロの投資家は、市場の変動や企業の動向を熟知し、経験と洞察力に基づいて投資判断を行います。
個人投資家・機関投資家はさまざまな情報を総合的に評価し、感情的な要素や直感を取り入れながら、リスクとリターンをバランスさせた戦略を構築します。これにより、市場のテンションやトレンドの変化に対応し、短期的な波乱にも柔軟に対処することができます。
逆に、AIは大量のデータを収集し、複雑なアルゴリズムを用いて分析を行うことはできる反面AIは感情や個人的なバイアスを含めて市場のニュアンスや企業の人的要素を取り入れて相場や売買・注文のタイミングを判断することができないのです。
投資家とAIは共存でこそ、価値がある
ここで重要なのは、プロの投資家とAIの情報処理・収集能力を組み合わせることで無限の投資チャンス・判断を得ることができるという点です。
プロの投資家の洞察力と経験に裏打ちされた意思決定に、AIのデータ分析と予測能力を活用することで、より効果的な投資戦略を構築できます。
つまり、この売買やエントリーの根拠をAIに解説させるには最強のツールとなるのです。
投資におけるAIツールはこれらの要素を補完する役割を果たすことができますが、完全に代替するものではありません。
投資家はAIツールの提供する情報や分析結果を適切に評価し、自身の判断や経験と組み合わせて投資戦略を構築する必要があります。
人間にしかできないのは倫理観
投資活動には倫理的な判断が求められることが多くあります。
比較的、株式投資で感じることが多いのが倫理観による相場の動向です。
株式投資では企業の業績や経済の動向だけでなく、社会や環境への配慮や倫理的な観点も重要な要素となっています。
例えば、ESG(環境、社会、ガバナンス)関連銘柄が環境保全や持続可能エネルギーなどに対して投資しておらず経常利益や純利益が上がった場合、株主や投資家は倫理的な観点から売り注文が相次ぐことになります。
どれだけ決算が良くても、俗にいう『ブラック企業』なら投資家はスキャンダルを恐れ投資しないのです。
しかし、AIにはその倫理観を判断することができないため、ブラック企業でも決算が良ければ保有、売買先にしてしまうのです。
AIが人間のプロの投資家に完全に勝つことはできない
人間のプロの投資家は状況に応じて柔軟に戦略を変えることができます。
投資は常に変動しており、市場の状況や要因が変われば投資戦略も適応する必要があります。人間のプロの投資家は市場の変化に対して素早く対応し、戦略の修正やアクションを取ることができます。
一方、AIはあらかじめプログラムされたルールやアルゴリズムに基づいて行動するため、柔軟性に欠けると言えます。
これからもAIが人間のプロの投資家に完全に勝つことはできないのか
AIと人間のプロの投資家の対決は、現代の金融・投資業界で注目を集めています。
どちらが優れているのか、どちらがより効果的な投資判断を下すのか、その議論は今も継続しています。
AIの利点は、前述通りデータの分析能力と高速な処理能力にあります。
AIは大量のデータを素早く処理し、膨大な情報を瞬時に解析することができ、AIは感情や個人のバイアスの影響を受けず、客観的な判断を下すことができます。
だからこそ、倫理観などの面で劣ってしまう部分がAIにはあるのです。
しかし、AIも進化を続けており、ディープラーニングや機械学習の進歩により、AIの能力は向上しています。AIはデータを学習し、自己進化することができます。将来的には、AIが人間のプロの投資家に追いつく可能性も否定できません。
結論として、AIと人間のプロの投資家は共存して大きな成果を生み出す相互性があると言えます。
そのためこれからの投資家は個人、機関投資家を問わず、AIをどれだけ使いこなすか。AIの導き出したデータでどれだけ判断ができるかが一つのスキルになってくると言えます。