企業が『株主優待』を続々廃止させている理由

企業が『株主優待』を続々廃止させている理由

企業が『株主優待』を続々廃止させている理由

『株主優待』の制度が続々なくなる理由

資産運用や投資では、配当金・金利差益・売買益などインカムゲイン・キャピタルゲインをなるべく狙いにいきたいと考えます。

株式投資では、株主優待という特別な『おまけ』があることもあります。

おまけと言っても換金性があるクーポンや食品・商品などは私生活の支出を抑えることにつながり、結果として投資したことで得られるもののため、株主優待の有無が投資先の選定基準になる投資家層もいます。

米国株より得する国内株の『株主優待』

米国株が人気の昨今、お気づきの方もいると思いますが、株主優待という制度は、海外にはありません。(*注1)

株主優待は個人間のお歳暮やお中元の風習が変化して出来ました。

企業が株主の送るお歳暮・お中元=株主優待の始まりなのです。

そのため、米国株への投資では配当益のインカムゲインと売買益のキャピタルゲインしかありませんが、日本株(国内株)への投資は『株主配当+株主優待』が受け取れるのが特徴とも言えます。

(*注1)制度や風習として限りなく少ないですが、『shareholder perks』や『 shareholder benefit』という言葉はあり、自社製品を割引などで用いられます。

▷▷▷世界中が全力で米国株に投資する理由

海外移住しても日本から株主優待は届くのか?

株主優待はあくまでも国内在住に限定されています。

株主優待を廃止させたいのは企業ではなく機関投資家?

機関投資家やヘッジファンドは株主優待をもらえない?

ここで企業から個人へのお歳暮やお中元という表現をしたため、機関投資家やヘッジファンドなどは株主優待が受けられないという風に誤解を招きそうなので補足します。

株主であれば、機関投資家やヘッジファンドも株主優待は平等に配当されます。

株主配当の多くは換金されますが、換金できないものは寄付などになります。

オリックスなどは年間30億円ほど株主配当に拠出しています。

そのため、株主配当をするなら、米国株のように連続増配など株価に影響を与える形で企業のお金を動かしてほしいと考えるのです。

【更新】オリックスに投資する理由は配当・株主優待だけでない

海外の投資家には完全に不平等な条件の株主配当の事実

機関投資家やヘッジファンドと言いながらも、海外の投資家には株主配当は送らないため、海外の投資家からすれば良い気持ちはしないでしょう。

同じお金を出資しているのに、日本国民だけにお礼や挨拶をして、自分たちにはないのですから、海外の投資家は逆に株主優待のそもそもない企業へ投資をします。

▷▷▷今更聞けないヘッジファンドのすべて

気づけばなくなった株主総会の手土産

実は筆者の私も気づいていなかったのですが、株主総会の手土産もほとんどなくなりました。

帰りに手土産が重すぎる、ということも少し前までよくありました。

しかし、株主総会に参加できる株主もいれば行けない株主もいます。

それで得られるものが違うのは不公平だ、ということで廃止していく企業が増えたのです。

それを考えれば、日本だけ優待というのは・・・(次章へ続く)

▷▷▷国内株の『高配当株』でヤバい銘柄・危険な投資の見抜き方

ESGなども含め株主優待などでの差別は嫌がられる

国内外での対応・待遇の差というのが、結果として貧富や格差の根源と考えられることも多く、ESGやSDGs、グレートリセットなどで、性別同様に『国』というボーダーへの不公平さは排除していく流れにあります。

▷▷▷ESG投資とは?方法やSDGsとの関係性、儲かる仕組みはあるのか?

多くの企業は、海外投資家の資金力に恐れながらも、日本より景気の良い国からの資金流入を期待しているのは事実です。

そのため、日本の株主にしかできないお礼や挨拶ならやめようという流れが組み立ちつつあります。

オリックスやJT・マルハニチロは景気や業績を問わず、株主優待を低減させ廃止することを発表しています。

株主優待で確実にもらえなくなるのは〇〇

株主優待というのは『おこめ券』やQUOカードなどである場合も実は多いです。

しかし、よくよく考えてみると生命保険ですらハーゲンダッツやサーティワンのクーポンを顧客などに配るのは保険業法違反やコンプライアンスに抵触する時代です。

事業と関係のない図書券やQUOカードをなぜ企業は株主に配って良いのか釈然としません。

私を含め投資家はあくまでも受け取る側なので、「なぜ商売に関係ない商品券をくれるんだ」とも聞かないですが、今後配当の中で金券類は確実に受けとることができなくなる優待だと言えます。

2022年は6ヶ月で約30社以上が株主優待を廃止

2022年は業績や東証の移行など関係なく、前述の株主優待で『QUOカード』の多くが株主優待を廃止しています。

多くの株主優待制度の廃止では、私自身が保有する某企業はこのようなお知らせをプレスリリースしていました。

株主の皆様へのより公平な利益還元という観点から慎重に検討を重ねた結果、配当金による直接的な利益還元を充実することがより適切であると判断し、株主様に対する株主優待品の贈呈をもちまして、株主優待制度を廃止することといたしました。(一部抜粋)

筆者の私自身、毎年3万円近くQUOカードを受け取っていた側なので、やはり投資家としては、優待がなくなったなら・・・売ってしまおうかな。という心理は生まれます