本当に高級腕時計は投資・資産運用になるのか

本当に高級腕時計は投資・資産運用になるのか

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本当に高級腕時計は投資・資産運用になるのか

お金持ちと言えば、高級車に大きな家、そして高級腕時計というのは持っていて当たり前のイメージがあります。

実際フェラーリでの節税効果などを過去に紹介してきましたが、高級時計というのはお金持ちは本当に投資で購入しているのか?

▷▷富裕層やお金持ちが『フェラーリ 節税』で気をつけていること

という部分に疑問が残ることもあります。

例えば、キャピタルゲインとして売買益を求め高級腕時計を購入するにしても、多くの腕時計で将来的に価値があがるかどうかというのは株式市場や為替相場よりも投機的な部分が大きいためです。

むしろ、高級腕時計1本ではお金持ちは満足するほどキャピタルゲインは出ないはずですし、ロレックスやパテックフィリップなどはそもそも購入制限や生産本数に限りがあるので大量に保有するというのも難しいという一面があります。

今回は本当にお金持ちが高級腕時計を投資や資産運用として購入するメリットがあるのか。

そして自分達もお金持ちと同じように高級腕時計を投資商品として購入していいのか、という部分、メリットを解説していこうと思います。

高級腕時計は価値はゼロにならない

儲かるのと『価値が落ちない』は投資では全く別物

投資で価値が落ちないというのは、逆を言えば儲かることもなくお金を呼び込むきっかけにもならないということです。

つまり、これだけを考えれば高級腕時計に投資するというのはあまり意味がないと言えます。

経営者が高級腕時計を買う理由

お金持ちではなく経営者という面で見れば、高級腕時計は一つのステータスとしてどれくらいの経済力や財力・資本を持っているかを伝えるツールとして考えることができます。

逆に言えば、投資や資産運用のために購入している経営者というのは意外に少ないと言えます。

たまたま欲しくて買った腕時計の価値が数年後上がっていたというくらいのイメージが近いでしょう。

個人事業主は高級腕時計を買うべき理由

一方個人事業主は、常にキャッシュフローの問題に頭を抱えているとも言えます。

儲かっていても黒字破産をするように、個人事業主や小規模事業者は儲けるよりもお金の動かし方が重要だとされています。

▷▷なぜ普通に生きていて『自己破産』するのか

個人事業主の場合は基本的に事業資本・資金と自己資本は同じ扱いなので、万が一お金や資金繰りに困った際はその腕時計を売れば資金を確保することができます。

もちろん、必要にならない間は腕時計として機能してくれるため小さいながらもレバレッジをかけることができていると言えます。

一方、会社経営者は正式に言えば会社の資本と経営者の資本は完全に別物であるため、お金に困って腕時計を売却しても生活費の捻出という使われ方になります。

もちろん、経営者個人が会社へ資金を貸し付けるような形などにすれば、済みますが腕時計を仮に1本や2本売って経営破綻をしないで済むような事業というのはあまりありません。

富裕層とお金持ちでは投資で保有する腕時計のレベルが異なる

富裕層と言われるお金持ちの中でもアッパーに近い層は、『お金持ち』の中でも相当資産額に差があります。

そのため、ただのロレックスのデイトナを買う、パテックフィリップのノーチラスの現行モデルを買うというのはお金持ちがすることであって、富裕層は国際オークションなどで競り落とすような腕時計を投資で購入します。

国際オークションにかけられるような商品というのは、価値が下がらないどころか保有している間に価値が上がっていく傾向にあります。

そのため、美術品などのアートや希少性の高いジュエリーと同じ扱いで腕時計を購入しています。

ちなみに、パテックフィリップであればサザビーズなどの国際的なオークションで、10億円近い腕時計が出品されています。

そのことを考えると、少しお金を持ったからと言って高級腕時計に投資しても富裕層の腕時計投資とは、差が大きく生まれることが多いと言えます。

高級腕時計で資産運用する方法

ここで、本当に高級腕時計で投資や資産運用ができないのか、というとやり方次第では十分利益は取れます。

やり方は2つで、

  • 一般的に入手しにくい・買えない腕時計を買う
  • 中古で値上がりが期待できる腕時計を安値で購入し保有する

この2つしかありません。

どちらも転売・せどりビジネスなのですが、ロレックスのデイトナやパテックフィリップのノーチラスなどはそもそも新品で買える機会は限られています。

例えば、周りの人が新品で購入したロレックスを引き取れるだけの人脈があれば可能ですが、その人脈や入手ルートがなければ購入制限があるため投資として再現性を持たせることは難しいと言えます。

腕時計好きが高級腕時計で投資をするなら

ロレックスなど近年爆発的に価値が上昇しているのを先読みできていれば、20年ほど前に40万円ほどで買えた中古のサブマリーナや100万円前後で買えたデイトナを買い集めていれば、相当額を稼げたはずです。

逆にロレックスではなくオメガだったらどうだったのか、と言えば・・・そういうことです。

つまり、先見の明があれば少ない資本でも十分投資として利用できます。

ロレックスの購入制限とは?

2019年11月から正規のロレックスの店舗全店で

指定モデルは一人一点限り、同じコレクションの購入は5年間できない。

別のコレクションであっても、指定モデルに関しては購入後1年間同じく購入することはできない。

新品でデイトナの素材違いやフェイス白と黒を正規で買うならば、何十年とかかることになります。

ちなみに、人気の二次流通系の時計販売店でも下取りや買取でもローンで購入している腕時計に関しては、完済証明がなければ買取しない販売店も増えています。

この買取事情に関しては、マネーロンダリングへの予防策とされています。

ロレックスなどの高級時計投資の弱点・デメリット

現物の金貨を購入するのと同じでキャッシュフローが滞る期間が長いということです。

前述のように20年ほど前に仮にサブマリーナやデイトナなど値上がりしそうな高級腕時計を100本保有すれば、5000万円〜1億円は現金が必要です。

この資金を20年間キャピタルゲインを求めず・現金化させないというのは結果として富裕層しかできないということです。

銀行からの融資であれば、中古の腕時計ショップの開店資金ならば受けることができますが、20年間でかかる金利を考えると得策とは言えません。

仮に無金利ローンを数本購入する際に利用しても、現実問題として大きく稼げるほどの本数を所有することは難しいと言えます。

もしもこの資金繰りがクリアできれば20年で価格上昇は150%は上がっているので、単純計算で20年で5000万円の投資利益が出ることになります。

しかし、20年かけて運用利益が5000万円だと考えると年間250万円の利益を1億円で作っていると考えると、一般的な金融商品で投資した方がリスクも少なく、多く稼げる確率は高いと言えます。

それに加え、盗難のリスクやオーバーホールなどのメンテナンス代金を考えると実はそこまでキャピタルゲインを期待した投資にはならないと考えることができます。

経営者より一般のサラリーマンは腕時計投資向き?

例えば、資本がなく無金利でお金を借りて5年間その腕時計を保有し続け、売却益を出すならばコスパは悪くありません、

5年間無料で高級腕時計を着けることができて、売却益が入るためです。

さらに、個人事業主や経営者であれば節税効果も狙いたいところですが、サラリーマンは節税を元々気にしないので、立場上もデメリットは一つ少ないことになります。

高級腕時計に投資するのと不動産投資の違い

ここで不動産投資と高級腕時計の投資の決定的な違いをお話ししておきます。

それは保有中の収益化です。

近年、高級時計のレンタルサービスやサブスクリプションサービスも出てきましたが、不動産と比べて圧倒的にコスパは悪いということです。

少額資本で借入や融資をせず投資したいならば仕方ない問題ですが、金融リテラシーが高い投資家は基本的にその少額資本などを担保に融資を得て不動産投資をするでしょう。

年収1000万円以上の独身サラリーマンの高級腕時計投資

もしも20代から30代の方で年収1000万円ほどで独身の方は、高級腕時計への投資はメリットがあると言えます。

一流の高級品を身につけるという経験が買えますし、市場の動向などの注視する意識付けができるためです。

ロレックスマラソンなどで一生懸命新品の腕時計を買い、メルセデスベンツのゲレンデヴァーゲン(Gクラス)か頑張ってポルシェの911を低金利キャンペーンの時などに購入しておけば、実用性と資産性の2つにレバレッジをかけることができるためです。

年収1000万円あっても新婚や子供が生まれた場合は、支出が多いため長期保有するような投資よりも短期投資でいつでも現金化できるものの方がいいでしょう。

実は知らない富裕層が高級腕時計を買う理由

富裕層の高級時計は利益ではなく『税金対策』

富裕層は何より税金で利益を減らすことを嫌います。

どんな企業でも節税を求め、タックスヘイブンに資金を移す・移住するなどの選択肢を選びます。

これは日本の富裕層ではなく海外のファンドマネージャーから聞いた話ですが、

海外移住などを計画する富裕層は、他のお金持ち以上に高級腕時計を保有する率が高いと言います。

その理由は現金を直接国外に持ち出すことは難しいですが、自分や家族に自分の高級腕時計を付けて海外へ移住準備などを名目に海外へ行けば、現金より簡単に国外に持ち出すことができるとされています。

ロレックスやパテックフィリップは国を問わず価値が高いため、キャピタルゲインではなく出国税対策として使われることもあるのです。

【まとめ】本当に高級腕時計は投資・資産運用になるのか

資産運用や投資としてロレックスやパテックフィリップなどの高級腕時計を保有するというのは、キャピタルゲインを『多少生む』くらいにしか期待はしないほうがいいでしょう。

やるならば、戦略をしっかり練る必要がありますし、『買えば終わり』で儲かるのは多くても100万〜200万円程度です。

昨今の法定通貨が暗号資産化されることで、ドルや円の分散の一環で購入するというのも一つとは言えますが、利益よりもリスクヘッジ・分散の一つと割り切れるだけの金融商品でのポートフォリオの形成ができている方が適すると言えます。

それであれば、この腕時計を子供に譲りたいという意味で『自分のため』潔く買う方がいいのかもしれません。