個人投資家でも年収300万円未満が多い理由
わざと稼がない個人投資家が多いのはなぜか
個人投資家と聞くと、どれだけ投資や資産運用で成功をしてきたのか。
クルーザーや高級車、金の腕時計にタワーマンションの高層階。
そんなイメージが個人投資家にはありませんか?
しかし、実際個人投資家というのは平均年収でも、
500万円満たないのが現状で、平均年収は420万円ほどなのです。
そう考えると投資は損をして、するべきではないと考える方もいると思いますが、深掘りしていくと『わざと』儲からないようにしている個人投資家が多いことがわかりました。
喉から手が出るほど欲しい・必要とするお金をなぜ個人投資家はわざと稼がないようにしているかを解説していきます。
実は違う・個人投資家の存在
個人投資家とは、専業投資家と兼業投資家に分かれており、全ての個人投資家が投資だけで生計を立てているわけではありません。
- 専業投資家は投資での収入・収益のみで生計を立てる投資家
- 兼業投資家は投資以外にも給料や事業収益がある投資家
と分けられます。
個人投資家で尚且つ、株式投資を行なっており株主としての権利を保有しているのは延べ5,672万人もいます。
つまり、自己資金・資産でETFなどの投資信託を購入・保有した時点で個人投資家という分類に入ります。
個人投資家は稼げていないのか
個人投資家の平均年収で見る投資家の厳しさ
年収400万円台と言えば30代の平均年収とも言えるため、30代の個人投資家の割合が50%を占めていれば職業としては『普通』『標準』と言えます。
日本証券業協会の調べでは残念ながら個人投資家で20代と30代を合わせても実は14%しかいません。
逆に言えば、
60代〜70代台の個人投資家が52%以上というデータがあります。
そのことを知ると、ファイナンシャルプランナーはハッと気づくはずです。
つまり個人投資家の多くは老齢年金の受給層であるということです。
日本の老齢年金の受給条件と副業・副収入
日本の高齢層へ支給する厚生年金である老齢年金は、働きながら受給することができます。
しかし、日本の年金制度はあくまでも『平等』は日本国民全員の平等という視点であるため、『年収格差』が生まれにくいようにもできています。
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個人投資家の2割以上の職業〇〇
個人投資家はもちろん、兼業ができるため職業別の調査なども行われており、
年金受給・定職なしが23%を超えているというデータもあります。
それに加え、専業主婦・主夫という職業は約18%。(=年収や投資による収益を一定の金額に抑えたい層)
これもやはり年収や投資による収益を一定の金額に抑えたい層だと考えられます。
既婚されている方ならご存知の通り、扶養手当や社会保険・住民税などを考え、パート代わりに投資をしている層もいることを考えると決して儲からないのではなく、故意に儲からないようにしている個人投資家が多いと言えます。
出典元:日本証券業協会:個人投資家の証券投資に関する意識調査より
個人投資家の年収と年金の深い関係性
年金は稼ぎすぎると貰えない
老齢年金は月額と総報酬月額の合計が 28 万円を超えると年金が減額されます。
月額年金月額が10万円の場合、総報酬月額が18 万円以下(年収 218 万円以下)なら、年金を全額受給することができます。
しかし、総報酬月額が 38 万円以上(年収 456 万円以上)なら、年金を一切もらえません。
総報酬月額とは?
総報酬月額とは、毎月の給与と、その月以前1年間に受け取った賞与の総額の12分の1を合計したものです。
年収218万円以下なら全額年金の受け取りができる
年収456万円以上なら全額年金の受け取りができない
わざと投資で稼がない投資家の存在
年金が貰えなくなるギリギリまでの副収入を得て、年金を受給するのが、得策だと判断している投資家が多いということです。
そのため、投資や資産運用で『わざと』多く稼がないようにしている投資家が多く存在しているのです。
むしろ、含み益が多く貯まっているものなどはあえて、生前贈与などで税金対策を行ったり、含み益と含み損を相殺させながらすぐれたポートフォリオを構築させているとも言えます。
ここでいう優れたポートフォリオというのは、キャピタルゲインではなくインカムゲインに比較的ウエイトが大きく寄っている場合が多いです。
なぜインカムゲインを投資家は求めるのか
比較的若年層と個人投資家というのは『稼いでナンボ』だとインカムゲインよりキャピタルゲインを重要視する傾向があります。
一方、年齢層の高い投資家はそもそも、投資や資産運用自体が『安定・永続的収入』を求めているのです。
そのため、インカムゲインでいう利子・配当益を好むのです。
相対して、年齢が高い個人投資家ほど株式投資や国債・社債、リートなどを選びます。
個人投資家の収入格差・運用益格差は歴然
この記事では個人投資家という職業は稼げないという夢を壊すようなことを言いたいわけではありません。
個人投資家で確かに年収300万円以下が多いという反面、年収1000万円以上の個人投資家が約6%ほどいるということです。
国税庁の毎年レポートされる『民間給与実態統計調査』では、年収1000万円以上が全体の4.6%でした。
多少ではありますが、一般的な平均年収と投資家の年収というのは相関性があると言えます。
つまり、1000万円以上を稼ぐ個人投資家も一般職業の方も青天井に稼いでいる方が平均年収を引き上げているとも言えます。
個人投資家は何に投資して何で稼いでいるのか
個人投資家と言っても、さまざまな金融商品を組み合わせている専業投資家も入れば、サラリーで『つみたてNISA』などだけをしている方もいます。
▷▷▷今更聞けないNISAと「新・NISA」の活用・利用方法
個人投資家の方で実際、何で稼いでいるのか?
というと株式投資での運用率は高い傾向にあります。
株式投資の中でも国内株での運用率が80%近いこともあり、レバレッジ運用での投資家よりも現金資産を保有している投資家が多いとも言えます。
個人投資家は不景気でも稼いでいる
2021年の流行性感染症や地政学的リスク、円安、インフレの地合でも約7割の個人投資家は利益が出ていたというデータもあります。
個人投資家の人気はやはり『米国株』による株式投資
個人投資家への意識調査などでも『米国株』への注目度は高く、直近での買い増しや注目する投資では約45%が米国株と回答しています。
個人投資家は稼いでいるのにも関わらず7割の個人投資家は生涯で言えば損をするともいわれています。
実際、個人投資家はいつどんなタイミングで損失を出すのか、ということも補記していきたいと思います。
【まとめ】個人投資家は儲けているが、『本人の資産は増えない』
これはあくまでも個人投資家として何かすれば必ず儲かるという、打ち出しをしたくないのであえて書きます。
個人投資家という職業で括り、調べていくと年間などの短期間であれば運用益を出している方が多い傾向にありますが、長期間の調査になると7割以上が残念ながら損を出しています。
実際、個人投資家というカテゴリーで『儲ける』『稼ぐ』という目的以外の使い方をしている方もいるということがわかって頂けたと思います。
想像以上に高齢の個人投資家が多いため相続税や贈与税対策で金融商品を用いていることが考えられます。
運用損失と相続税や贈与税の相殺性を見ると、運用損失は少なければ問題なく長期的に安定しており、値崩れ幅の狭い銘柄の選定をして保有しているとも推測できます。