- 1. J-REITで投資家はどのような稼ぎ方をするか
- 2. J-REIT(Jリート)とは?
- 3. J-REIT(Jリート)の種類と特徴
- 4. J-REIT(Jリート)の収益の仕組み
- 5. J-REITで投資家はどのような収益を得るのか
- 6. 投資家はJ-REITの配当率だけを見ているのか?
- 7. J-REIT(Jリート)とNISAやiDeCo活用で節税する
- 8. 『NISA』と『つみたてNISA』
- 9. J-REIT(Jリート)とNISAの相性=デメリットにもなる
- 10. 「J-REIT(Jリート)はやめとけ」と言われる代表的なリスク
- 11. 不動産市場・価値の暴落リスク
- 12. 投資信託ならではのリスク
- 13. J-REIT(Jリート)投資で不安視するのは昨今の金利問題
- 14. ESG・SDGs関連投資としてJ-REIT
- 15. JリートETFの優位性
J-REITで投資家はどのような稼ぎ方をするか
Jリートと聞けばどこかで聞き覚えが・・・と思う方も多いかもしれません。
あの、少しばかり気になるCMでお馴染みのJリートは投資のJ-REITだと知らない方も多いかもしれません。
そもそもJ-REITとは何か?
というところから、真剣に資産運用の候補にしている方までわかりやすく、解説していきたいと思います。
J-REIT(Jリート)とは?
J-REIT(Jリート)は不動産投資信託というカテゴリーの投資信託です。
元々は1960年ごろアメリカ版不動産投資信託『Real Estate Investment Trust』が始まり、日本では2001年に不動産投資信託の市場が開きました。
投資家から集めた資金を不動産に投資し、その賃料収入などから得られた利益を投資家に分配する仕組みになっています。
J-REIT(Jリート)の種類と特徴
購入窓口 | 手数料 | 購入金額 | |
個別銘柄 | 証券会社 | 売買手数料 | 数万~数十万円 |
J-REIT ETF | 証券会社 | 売買手数料・信託報酬など | 数千~数万円 |
J-REITファンド | 証券会社・銀行 | 購入時手数料・信託報酬など | 100円~ |
J-REIT(Jリート)の種類は個別銘柄やETF・投資信託の3つに分かれ、不動産の運営カテゴリーも多岐に渡ります。
- オフィスビル特化型:オフィスビルに特化して投資するリート
- 住宅特化型:賃貸住宅に特化して投資するリート
- 商業施設特化型:商業施設に特化して投資するリート
- 物流施設特化型:物流施設に特化して投資するリート
- ホテル特化ホテル・旅館に特化して投資するリート
- ヘルスケア施設特化型:ヘルスケア施設に特化して投資するリート
- 2つの用途の不動産に投資するリート
- 総合型 3つ以上の用途の不動産に投資するリート
J-REITは元々はオフィスビルなどの運用を多くしていましたが、昨今では多様化され多くの投資機会が設けられています。
J-REIT(Jリート)の収益の仕組み
J-REITで投資家はどのような収益を得るのか
J-REITの分配金の仕組み
J-REIT(Jリート)での投資は投資家に分配金が配られ、この分配金が投資家の運用利益となります。
投資信託なので分配金という呼称になり、株式投資で言えば株主配当・配当金と同じ意味合いを持ちます。
多くのJ-REITは年に2回の分配金の配布があります。
J-REITが儲かると言われる理由
J-REIT(Jリート)の個別銘柄には法人税がかからないものがあります。
そのため法人税への拠出が少ない分、投資家へのバック率が高くなるため同じ資本を株式投資するよりも運用率が高いとも言われています。
J-REIT(Jリート)で法人税が免除される条件
J-REIT(Jリート)での運用収益の90%以上を投資家に分配する場合、法人税がかかりません。
法人税がかからない企業では、納税準備金などの内部留保も必要がなく、投資家への配当率が高まります。
投資家はJ-REITの配当率だけを見ているのか?
J-REIT(Jリート)は前述通り『分配金』を投資家へ配ります。
つまりは配当所得となるため、税率は20.315%以上にはなりません。
一方、通常の大家として不動産業を行う場合に得る投資家への収益は不動産所得となります。
不動産所得は総合課税の対象となるため、元々所得の高い方や運用資本が大きい投資家にとってはJ-REITで運用する方が得策とも言えます。
J-REIT(Jリート)とNISAやiDeCo活用で節税する
J-REIT(Jリート)での分配金を非課税にする
資本が多い投資家以外でもJ-REITは投資信託のカテゴリーであるためNISAやiDeCoを活用することができます。
さらに『つみたてNISA』やiDeCoであれば長期安定の収益源を確保できるほうが、フル活用できるため、相性はいいと言えます。
『NISA』と『つみたてNISA』
現実的にNISAよりも『つみたてNISA』は運用ハードルが低く、運用資産・資金が少ない層向けとも考えることができます。
しかし、最長20年の運用期間×40万円を運用させることができる「つみたてNISA」は『NISA』よりも非課税枠は大きくなります。
NISAの非課税枠600万円
「つみたてNISA」の非課税枠800万円
非課税投資枠の年間40万円で月額で考えると月3万3000円ほどを運用していくことになります。
「現金で毎月3万3000円ほどを余らせて銀行に入れておくくらいなら、運用しなさいよ」という制度だと言える反面、つみたてNISAの方がNISAより優れているとも言えます。
J-REIT(Jリート)とNISAの相性=デメリットにもなる
J-REITは複利効果がない
J-REIT(Jリート)の仕組みはあくまでも、保有中に配られる分配金を投資家は目的にしています。
つまり、この分配金を再投資するにはJ-REITの買い増ししか方法がありません。
もちろん、莫大な資本をJ-REIT(Jリート)で運用し、分配金だけで買い増しができればいいですが、かなり少ないケースでしょう。
しかし、前述通りNISAでは年間120万円の範囲で複数の銘柄を新規購入する運用ルールを活かしたいため、再投資や複利効果が少ない投資対象には相性がいいと言えます。
「J-REIT(Jリート)はやめとけ」と言われる代表的なリスク
元本割れという話をすれば、還元率や運用率が下がることはご承知の上で、J-REIT(Jリート)は元本割れのリスクはあります。
しかし、ヘッジファンドのように相殺運用に意識が持てる方は、元本割れをしにくい銘柄を選べている傾向にあります。
不動産市場・価値の暴落リスク
昨今の経済市場や金融市場では円安や過度のインフレにより業種によっては、かなり厳しい条件で営業をしています。
その中で、日本の不動産の賃貸市場や売買市場の鈍化が起こった場合や天災(特に地震)による影響はJ-REIT(Jリート)では非常に敏感になります。
投資信託ならではのリスク
J-REIT(Jリート)の個別銘柄が消滅(上場廃止)した場合、運用資金の回収はかなり難航すると予想されます。
もちろん、J-REIT自体仮に法人税が免除されても株式会社などの企業です。
業績以外にもコンプライアンス事案や不祥事などの投資家が予想できない部分でのリスクもあります。
J-REIT(Jリート)投資で不安視するのは昨今の金利問題
J-REITはあくまでも金融機関からの融資や投資家からの出資によって成立しています。
特に、金融機関からの融資というのは直結して国債の金利(長期金利)に影響を与えます。
そのため、昨今のイールドカーブコントロールや政府の指値オペ等の政策は注視するべき事案だと言えます。
ちなみにアメリカなどは利上げトレンドであり、住宅ローンなどの融資コストがあがっています。
これと同様にJ-REITは長期金利が上がってしまうとリターン率が落ちてしまうため、J-REIT自体は10年国債の金利は低い方がありがたいというのが本音だと言えます。
ESG・SDGs関連投資としてJ-REIT
不動産の分野は、そもそも建物を運営することでの二酸化炭素の排出量が多い分野です。
そのため、昨今は省エネルギー対策済みのビルやマンションなどのへの注目がされてきました。
そこでJ-REITはGRESBへの参加や、環境保全、グリーンボンドの発行などを積極的に行なっています。
そのため、ESG・SDGs関連の投資としても注目されています。
出資する企業や金融機関もできる限りESG・SDGs関連に着手する事業へ資金を拠出させたいという方向性があるため、J-REIT市場の拡大も期待ができます。
GRESBとは?
GRESB(グレスビー、グレスブ)とは、Global Real Estate Sustainability Benchmarkの略として知られてきました。
2009年に設立され欧州の年金基金を主体に日本や世界の機関投資家が参加しています。
日本では私たちの年金の運用計画を行なっているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)やDBJ(日本政策投資銀行)などの参加しています。
GRESBの実体としては不動産会社・ファンドの環境・社会・ガバナンス(ESG)配慮を測る年次のベンチマーク評価などを行なっています。
グリーンボンドとは?
グリーンボンドとは、企業や地方自治体等が国内外のグリーンプロジェクトに要する資金を調達するために発行する債券のことを言います。
日本では環境省による発行も話題になり、補助金制度などもあります。
J-REIT市場でも2018年ごろから発行する企業が登場しており、一定レベル以上の環境認証を取得した建築物において『グリーン適格資産』という評価が与えられます。
JリートETFの優位性
通常のJ-REITは個別銘柄の選定を行い、株式投資のように保有運用を行います。
個別銘柄の選定は60以上の銘柄が存在し、リートの種類などを比較検討するのは難しいという方も多いです。
そこでJ-REIT(リート) ETFを活用し運用する投資家もいます。
その他のETFと同様に少額からの運用が可能であり、NISAやiDeCoの活用もできることから、気軽にJ-REITで資産運用を行うことができます。
アセットマネジメントOne株式会社
JリートETF・個別銘柄どちらが稼げるのか
ETF化されたJ-REITは基本的に投資先が分散されています。
そのためリスクヘッジとして有効で、分散投資としてのポテンシャルが高いといます。
一方、稼げるかどうかという点で言えば、売買手数料が必要な場合があり、信託報酬などはETF商品なのでコストとしてかかります。
JリートETFと経済指数
JリートETFに限ったことではありませんが、どうしても分散させているETFは結果として経済指数との相関性が高まっていく傾向があります。
実際、東京証券取引所で「東証REIT指数」というものがあるため、分散されるほどこの手の指数に連動してしまう部分があります。
良い意味でも悪い意味でも分散されるため、結果として今、なぜ上がっているのか、下がっているのかが判断しにくくもなります。