2024年の『損保』保険代理店の経営・営業はやめるべきか

2024年の『損保』保険代理店の経営・営業はやめるべきか

保険代理店経営はどうなっていくか。

継続する悩みを完結にお話しながら、生き残る術を考えてみようと思います。

2023年までの保険代理店業は急速に儲からなくなっている

2023年までの数年で起きた保険代理店・保険業界の変化

  1. デジタル化と直販の増加 コロナ禍対面商談ができず今まで貫いてきた対面ビジネスを、オンラインで容易に比較・購入できるようになりました。これにより、顧客は保険代理店を介さずに直接契約することができ、代理店の需要が減少しています。
  2.  価格競争 保険市場は価格競争が激しくなっており、多くの顧客が最も経済的(保険料の安さ)な選択を求めています。つまり保険市業界は『安くて保険内容の充実しアフターフォローもしてくれる』という無理難題を強いられることとなりました。
  3. デジタル技術の進化 保険業界はデジタル技術を活用し、自動査定、データ分析、人工知能(AIサポート)など代理店がこれまでやっていたタスクがなくなったのもこの数年の出来事です。
  4. 顧客の期待の変化 顧客はより迅速で効率的なサービスを求めており、保険代理店が提供する昔からの営業・商談方法が時代遅れになってしまうこととなりました
  5. 保険代理店の吸収合併 保険代理店は保険会社が運営のサポートを行うため、保険会社の社員の活動時間を奪うと判断され、小規模代理店や高齢者が経営する個人代理店などを店じまいさせる合併が急速に進みました。

2024年の損保専業代理店の経営はより厳しい

儲かるか儲からないかで言えば、既に保険代理店事業に特化する『専業代理店』は資本の大きな会社で全国数十店舗以上で経営し、営業マン・事務員を準備できる大型資本の子会社などしか純利益を残すのは難しい状況になったと言えます。

さらにBM社の保険代理店権剥奪というのも損保業界では激震だったと思います。

兼業代理店で、しっかりコンプライアンスを意識している保険専属担当などがいない限り、今までのやり方では確実に保険会社も指摘してくるようになるでしょう。

保険代理店業はまだまだやり方次第で儲かるとは思います。

しかし、損害保険は特に経営の旨味がなくなっているのは言うまでもありません。

 

合わせて参考にしたい記事

保険会社と保険代理店の関係が上手くいかない理由

損害保険の代理店は儲からない

火災保険と企業保険に強くない損害代理店は、2023年にもお伝えしましたが確実に大型代理店への吸収合併・提携を提案される流れになってきました。

つまり、今までは『保険代理店がなければ保険会社も困る』状態が『少ない=コスパよし』の風潮になったためです。

さらに保険会社は保険金と保険料の支払いで保険金が勝ると商売として成立しません。

しかし、自動車保険などはここ数年でのテクノロジーや材料費高騰などで、修理費が上がっています。

保険料を上げれば他社に契約が流れてしまうため保険料を上げにくく、結果として代理店手数料が結果的に減る(数字上は減ってなくとも、足切りや予算達成・代理店ボーナスの付与条件など)ことになります。

合わせて参考にしたい記事

保険代理店を廃業させてみたらメリットしかなかった

不動産会社が保険代理店を辞めるのが一番の説得力

損保代理店で今一番儲かりやすいのは不動産仲介・売買業での兼業代理店です。

昔よりも35年一括の火災保険がなくなったため手数料は減りますが、10年一括など比較的高単価な保険案件を身近で手に入れることができるためです。

しかし、私のクライアントも私の経営する不動産会社も結果として保険代理店を廃業させました。

その理由は、非効率性、コスパの悪さです。

保険法や保険業法でコンプライアンスが非常に厳しく、賃貸であれば短期契約が増えるため満期案内などをする必要があります。

そうなると、保険代理店から見れば嬉しい代理店報酬も、不動産事業のような高額商材の営業の方が見入りが良いため経営者も営業マンも積極性がなくなるのです。

つまり、損害保険で稼げるはずの兼業業種ですらやらないのが『保険代理店』ということになります。

損害保険は2024年も契約が取りにくい

損保はダイレクト型・通販型の直販がますます独占販売シェアを拡大させ、保険会社自体が代理店をしている直販部隊と合わせると伸び率は急上昇と言えます。

そんな中で、まず代理店の規模感によっては新規案件・契約が取りにくいということもあると思います

従業員を雇えば還元率やインセンティブを支給できるだけの余裕はなくなります。

一人親方状態で個人代理店をすれば更新や満期案内で手が塞がり新規契約を取る時間がなくなるのです。

AI導入の加速は2024年以降も加速・保険代理店の存在意義が問われる

chatGPTが日本人とAIの距離を縮めたと筆者の私は考えています。

AIがこの先も導入されると9割以上の保険業務はAIに飲み込まれます。

保険代理店どころか、保険会社の社員すら営業部署は縮小され、支店支社・研修施設なども数を減らし、ランニングコストを減らしていくことが想像できます。

AIであれば不正やコンプライアンス違反のリスクもなく、保険会社も相当なお金を導入しても回収できるだけの投資だと考えています。

2024年以降、保険代理店で生き残るためにどうすればいいのか

専業から兼業へ代理店経営をシフトするなら今すぐに

2023年までは損害保険は『ノンフリートの自動車を捨てる』という方向転換も推奨してきました。

品種が多ければ多いほど売り迷う営業がいる中で、自社は火災保険とフリート、企業保険のみ!と決めて経営や営業を行うアイディアがありました。

しかし2024年以降、保険料も各社上げると発表し、足並みを揃えて今後も展開してくるのを想像すると、『自衛・保守化』に踏み切らないといけないところまで時代は来たと言えます。

保険契約のノルマ・足切りはいつ遭っても、他の事業で収益を上げられるよう専業から兼業へリスクヘッジし、『保険で悩む人』『保険で悩む企業』へ中立な立場でコンサルティング事業を行う方が安定的に信用と収益が入ってきます。

保険代理店を儲かる事業に変える方法=廃業はしたくない

保険代理店を、閉業・廃業しようかと悩む経営者の方もいると思います。

実際提携・吸収合併の依頼も年々増え続けています。

悩んだ瞬間に閉業を決めるのは、少し早いとしても、儲ける前に綺麗事抜きにして契約者の方にマッチした契約を商売感情抜きに提案できるかがジャッジする点だと講義やセミナーでも話しています。

「この特約を入れたら、併売したら手数料がこれだけ増える」と契約してもらうと中途解約された時のしわ寄せに持ち堪えることができなくなってきます。

そうなる前に、自分やスタッフ・営業にテストをしてみて、何を進めるか確認してみると良いと思います。

保険代理店で儲かる方法は唯一とは?

*後編は現在執筆依頼中です

【まとめ】2024年の『損保』保険代理店の経営・営業はやめるべきか

2023年までの保険代理店業界は急速に厳しさを増しており、デジタル化と直販の増加、特にコロナ禍による対面商談の難しさがオンラインでの保険商品比較・購入を促進し、これが直接契約を増加させ代理店需要を低下させています。

同時に価格競争が激しく、顧客が経済的な選択を求める中で、保険料の安さが重視され、代理店の収益に影響を与えています。

デジタル技術の進化により業務が自動化され、顧客の期待も迅速で効率的なサービスを求める方向に変化しています。

小規模や高齢者が経営する個人代理店の吸収合併が進む中、2024年以降、損保専業代理店の経営は一段と厳しくなり、既存の専業代理店は大型企業による経営集中が進む見通しです。

一方で、兼業代理店が儲かりやすい傾向がありますが、損害保険は契約が難しくなり、自動車保険の修理費の上昇が代理店手数料を圧迫しています。

2024年以降、保険代理店が生き残るためには、兼業経営へのシフトやコンサルティング事業の展開が不可欠です。

ただし、保険代理店業はやり方次第で依然として儲かる可能性があり、慎重な戦略が求められます。

保険代理店・営業マン向けノウハウ本