政府による金融・経済の介入にも負けない機関投資家の強さは何か
政府の介入を乗り越えるプロの投資家の秘訣
機関投資家の成功秘訣は多岐にわたります。
プロとしての豊富な経験と専門知識は個人投資家が勝ることのできないほどの力の差があります。
市場の動向を正確に分析でき、幅広いネットワークや情報の収集能力があり、集めたデータを長けた分析スキルで解析するという基礎的なプロセスがしっかりできています。
機関投資家はさらに莫大な資本量で時に市場のトレンドに対して抵抗買い・売りができるほどあります。
この資本の大きさは、ポートフォリオを多様化に繋がりリスクを分散の制度を高めます。
さらに、機関投資家は個人投資家の長期運用スタンスよりも長期運用できるだけの余力があるのも個人投資家とは違う部分です。
この情報収集力・分析解析能力・運用資金の潤沢さなどが政府の介入などの番狂わせに対応できていると言えます
政府はなぜ経済に介してくるのか
政府が経済や金融市場に介入するのは『安定』を維持するためというのが表向きの理由です。
政府が手に負えないほどの金融市場や経済市場の混乱が起きる前に対策するのが目的となります。
水面化では政治的な圧力や外交関係を理由に介入する可能性が考えられます。
しかし、政府の経済や金融市場への介入は長期的、昨今でいう『持続性』がないものであり、一時的な措置です。
そのため、政府が無理に向かせた方向に市場を動かすと、市場に歪みが生まれます。
この歪みは結果としてテクニカル・ファンダメンタルズも無視した動きになるため、個人投資家や企業にも影響を与えます。
政府が介入すると市場の歪みは長期化する
政府の介入は持続性のないものだとしても、介入後の経済は病み上がりの状態になります。
本来の値動きが抑制されているとも考えることができ、景気サイクルも乱れることになります。
IMFの見立て通り先進国は約6年で景気サイクル・循環が一周しようとしていたのを、介入によって早めることにも遅めることにもなりえるのです。
そうなると、たった一度の介入が数ヶ月・数年影響を受ける可能性があるのです。
モノポリー形成と政府による金融市場の介入
政府が金融市場に介入すると特定の業種・産業、企業を保護する結果になります。
例えば、日本市場が数年前のように円高に苦しむ状態で、政府が為替に介入して円安にさせようとする動きがあった場合、トヨタなどの輸出企業は恩恵を受けることになります。
トヨタは米ドルが1円円安になると約450億円もの営業利益が上がり、逆に輸入企業は同じ営業利益でも純利益が落ち込むことになります。
政府が経済や金融市場に介入をしない国はあるのか
経済や金融市場へ政府の介入をしない国は、平等とも考えられます。
世界中で基本的に政府は経済や金融市場に介入は行える権限を有しています。
しかし、国民の権利侵害や政府の権限超過とバッシングされることは多いのは事実です。
仮に憲法に違反するとしても、介入した国を、他の国の法律で裁くまでの自体になると国際問題になるため起こることは少ないです。
介入した政府を保有する国が、政府を罰するということは、普通に考えて起こりにくいと考えます。
機関投資家が政府の介入を利用できる理由
政府の経済・金融への介入への抵抗できる機関投資家の強み
機関投資家が政府の介入を巧みに活用する方法にはいくつかの手法があります。
まず、ロビー活動を通じて政府や政治家と連携し、自らの利益を守るための要望を伝えます。
政治献金を行うことで政治家や政党に影響力を持ち、政策決定に対して意見を反映させることもあります。
さらに、有識者を政府のアドバイザーとして登用することで、政策に影響を与えようとする場合も見られます。
また、機関投資家は企業の監督権を持ち、経営に対して影響力を行使することで政府の政策決定に影響を与えることがあり情報提供と分析能力を活用し、政府に対して市場や経済の情報を提供し、政策決定の根拠となるデータや分析を提供することで、政府の意思決定に影響を与えることを目指します。
つまり一定の機関投資家のレベルになると、政府の介入は予想する側ではなく、コントロールする側であると考えるべきでしょう。
機関投資家は政府の介入を自らの利益に利用し、大義名分を作り投資成果を最大化することを目指します。
そうなると機関投資家へ資金を預ける富裕層の真意が読み取れます。
機関投資家のように個人投資家が政府の介入を予測することは可能か
機関投資家の巧みな手法、政府の介入に打ち勝つ方法を真似したい
ここで、個人投資家でも機関投資家には敵わなずとも、2、3歩遅れて政府の経済や金融介入を予測することはできないのか。
全てを網羅しているわけではないですが、直近30年間(1993年から2023年まで)の日本の政府介入には、以下のような事例がありました。
この6つの事例の共通点として言えば、金融庁や内閣府の金融担当大臣や内閣総理大臣、海外では各国の中央銀行が会見を行い、国民や世界へ経済的・金融的混乱を表向きに認めたことが当てはまります。
そのため、この疑問に対していうならば、非常に予測は難しいですが、経済指標や政治的なイベントと市場の動きを政府の会見などを中止しインシデントの大きさを過去の介入と比較することくらいしかできないでしょう。
- 経済政策の展開: 政府は景気対策としてさまざまな経済政策を実施してきました。景気刺激策や財政出動、金融緩和、消費税の増税延期、雇用促進策などが挙げられます。
- 金融政策: 日本の中央銀行である日本銀行は、金融政策を通じてインフレーション目標の達成や経済安定を図っています。長期的なゼロ金利政策や異次元緩和策(量的・質的金融緩和)などが実施されました。
- 環境対策: 環境問題への対応として、再生可能エネルギーの導入促進や省エネルギー政策など、環境に配慮した政策が実施されています。
- 貿易政策: 国際情勢に対応して貿易政策が調整されることもあります。例えば、貿易赤字の削減や自由貿易協定(FTA)の締結、輸出規制の見直しなどが行われました。
- 緊急対応: 天災や災害など非常時には政府が迅速な対応を行います。震災や洪水、台風などの被災地への支援や復興策が実施されました。
- 新型コロナウイルス対策: 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に対応して、経済対策や医療体制の強化などが行われました。
政府の影響下で成功する機関投資家の秘訣とは?
ここまでの政府の介入と機関投資家のまとめ
機関投資家はやはり圧倒的なリサーチと情報収集があり、政府の政策や法律、規制の変化に敏感に反応し、それによる市場への影響を正確に予測がある程度できる。
ロビー活動による政府や規制当局との良好な関係を築き、ロビー活動を行うことで政策決定に影響を与えることができる
専門の調査・分析チームがあり個人投資家のように基本的に全て自分で行うのと違い、組織単位で介入の可能性、影響などを視野に運用計画・ポートフォリオ作ることができる
以上のことが政府の影響下で成功する機関投資家の秘訣だと言えます。
政府の金融・経済への介入は個人投資家は予測しにくい
機関投資家はある程度の予測とリスクヘッジ、コントロールが可能ということに対して、個人投資家はやはり不利だといえます。
個人投資家も機関投資家と同じこと対策ができるのは、ダイバーシフィケーションであり、ダイバーシフィケーションを効率的に行うには『点』で投資を行うのではなく経済市場や金融市場、世界情勢全体を注視する情報収集能力と分析力が必要です。
ダイバーシフィケーションの手法を取り入れると、少なくとも政府による金融・経済への介入というリスクを避けたポートフォリオを一部に組み込むこともできます。
リスク分散投資と言えば、その通りですが常にそのダイバーシフィケーションした投資先をアップデートできるだけの投資技術を追求するにはかなりの労力が求められます。
政府の介入と『機関投資家VS個人投資家』
政府の金融・経済の介入において言えば、圧倒的に個人投資家は不利で、個人投資家はロビー活動を行える機関投資家に資産運用を邪魔されている、とも考えることができます。
仮に機関投資家を辞めて個人投資家になって知識があったとしても、機関投資家には資金の規模で負けてしまいます。
もちろん、機関投資家が他の投資家や企業に与える影響力を考慮すると、政府と同じように機関投資家は市場のコントロールができていることになります。
金融や経済の市場は国内だけでも非常に複雑な関係で動いています。
それに海外の市場が加わると日本の機関投資家は優位性が必ずしも強いと言えません。
さらに、パワーバランスが明らかに強い機関投資家は、金融庁などの監視が厳しいのも事実です。
残念ながら、個人投資家は機関投資家と対等に戦える場面は皆無で、政府VS機関投資家と考えて市場の値動きを考える方が個人投資家の運用益にプラスの影響を与えるでしょう。
【まとめ】政府による金融・経済の介入にも負けない機関投資家の強さは何か
個人投資家は機関投資家と大きく異なる立場で資産を運用しています。
政府の介入に対する対策は個人投資家にとって限られるが、ダイバーシフィケーションなどを活用してリスクを分散することで、政府の影響をある程度避けることは可能だと言えます。
しかし、機関投資家が政府の影響をコントロールし活用するのに比べると、個人投資家は予測や対策が困難であるという側面には十分注意して市場の動向を見守る必要があります。