ウォーレン・バフェットの投資戦略『バイ・アンド・ホールド』は本当に最強なのか?
この記事では
- 『バイ・アンド・ホールド』の投資戦略
- ウォーレンバフェット氏がなぜバイ・アンド・ホールドで運用をするのか
- バイ・アンド・ホールドは最強の運用と言えるのか
を解説していきます。
ウォーレン・バフェットの投資戦略『バイ・アンド・ホールド』とは?
『バイ・アンド・ホールド』とは、直訳通り、『買う、そして保有し続ける』という意味で長期投資を意味します。
バイ・アンド・ホールドは複数の意味があり、ETFや投資信託などの『満期』があるものに対して、満期が到来する日まで保有し続けることを言う場合もあります。
ウォーレン・バフェット氏の投資戦略を解説する上での『バイ・アンド・ホールド』は、短期的な『バタバタ』した目先の利益に捉われずゆっくりと寝かせて資産を大きく増やすことをいいます。
ウォーレンバフェット氏以外にも『バイ・アンド・ホールド』を推奨する投資家は大勢いますが、ウォーレン・バフェット氏は特に『バイ・アンド・ホールド』で財を成したと言える人物でしょう。
ウォーレンバフェット氏がなぜバイ・アンド・ホールドで運用をするのか
バイ・アンド・ホールドは投資の『正攻法』
正直にここで全ての筆者の投資経験も踏まえて言えば、バイ・アンド・ホールドは投資における正攻法です。
あらゆる投資や金融・経済の論文を読んでも結果としてバイ・アンド・ホールドで投資や運用を行うのが『確実』に資産を増やす方法と言えます。
それを証拠に私たちの年金の運用戦略を練るGPIFも長期投資でヘッジファンドの多くは長期投資に多くの運用資本を流しています。
下のグラフは、GPIFが公開しているデータで1969年末に「国内債券」「国内株式」「外国債券」「外国株式」にそれぞれ100万円を投資して保有し続けた場合、2022年末にいくらになったかを示しています。
バイ・アンド・ホールドの盲点
GPIFのHPの言葉を以下引用します
『株式や債券の運用によって得られる収益(儲け)は、短い期間ではプラスやマイナスに大きく振れる可能性がありますが、長期的に見れば、世界の経済活動などに資金を提供する対価として、元手を増やすことができています。』
バイ・アンド・ホールドは投資の『正攻法』だが・・・
バイ・アンド・ホールドは投資戦略としては最強とも言え『正攻法』として知識に入れておくべきでしょう。
しかし、GPIFも短い期間ではプラスやマイナスに大きく振れる可能性があります
と言っているように、短期投資は大きくプラスにする可能性があるということです。
つまり、10年待ったのちに増えた資産と買って半年後に値上がりした地点で比較した場合、半年後の方が10年後より高い可能性は十分にあるといえるのです。
バイ・アンド・ホールドは確かに投資資金・元本を増やすという点では有効ですが、『大きく増やす』という点においては短期投資でリスクを許容しなければ成立しないということです。
私たちにとってバイ・アンド・ホールドは最強の運用と言えるのか
ここでウォーレンバフェット氏やファンド・GPIFの『バイ・アンド・ホールド』戦略が私たち個人投資家においても有効か否かを考えていきます。
結論とすれば、一部の個人投資家には有効ですが、ほとんどの投資家はバイ・アンド・ホールドでは満足する運用結果は出ないと言えます。
この一部というのは相続やプロ級選手のように多額の預金がある場合です。
仮に1億円相続を受けた30代の方が、30年間3%で運用すれば、30年後1億円は2.5億円ほどになり1.5億円増えているため、老後も安泰でしょう。
なぜバイ・アンド・ホールドは個人投資家に向かないのか
私たち個人投資家のもっとも大きな問題は資金の『少なさ』です。
GPIFの運用額は189兆9,362億円に対して、運用実績は年率+3.38%で累積収益額+98兆1,036億円です。
そのうち利子・配当収入は46兆4,116億円。
つまり、約半分はインカムゲインで残りがキャピタルゲインということになります。
個人投資家が投資をする際に1000万円以上の元本があることは稀で、ほとんどの場合は数十万円単位から投資を始めます。
仮に100万円を1年間GPIFのような一流のファンドが運用しても103万円なのです。
もっと言えば、3%の年率で10年運用しても134万円。
10年で34万円増えたことで、老後や資産としてどれだけ豊かになれるのでしょうか?
ウォーレンバフェットと私たちの大きな違い
ウォーレンバフェット氏が長期投資で稼げたから自分も同じポートフォリオで長期投資をしても資産を大きく増やすことは難しいでしょう。
これは1000冊本を読んだ子供と今日から本を読み始める子供が同じ本を読んでも、同じ読解力はないため、その本がどれだけ素晴らしくとも結果に結びつかないのです。
さらに、私たちはウォーレンバフェット氏が運用を始めた11歳の時代に戻ることも自分たちの年齢を11歳に戻すこともできません。
運用資本が少なく、知識や経験が少ない投資家が一流の投資家と同じ投資をして運用利率が200%を越えることはあり得ません。
プロ野球選手やメジャーリーガーと同じフォームでバットを振ってもホームランが出ないように、私たちには私たちに適したフォームがあるのです。
30代でバイ・アンド・ホールド運用は最強か?
投資を始める年代で多い30代の平均貯金額は266万円です。
266万円のうち満額を運用資金にできないため150万円を運用元本とすれば、150万円を3%で運用しても200万円なのです。
仮に退職する60代まで30年間バイ・アンド・ホールドをし続けた場合、約360万円です。
退職金がある企業でなければ住宅ローンの完済額すらできない可能性があります。
バイ・アンド・ホールド運用よりするべきこと
個人投資家で少ない資本で大きな財を成すためには、バイ・アンド・ホールド運用では自分の寿命内では難しいということです。
バイ・アンド・ホールド運用では時間が掛かりすぎてしまうのです。
少ない資本でなるべく多く資産を作るには、バイ・アンド・ホールド運用のむしろ逆をいかなければなりません。=早く・多く稼ぐことです。
ただでさえ、頭は一つのことしか考えられず、24時間しかありません。
レバレッジをかけて少ない資本を大きく膨らませて運用し、リスクを許容しない限り、私たちが経済的に『豊か』だと思える時代は細いのです。