最近の一流養成学校でもコンプライアンスの話をさせてもらったばかりですが、そもそもコンプライアンス違反はなぜ起こるのか?
そこから生まれる負のスパイラルと今回公にされたかんぽ生命の営業情報についてお話していきます。
かんぽ生命が何をした?高齢者をターゲットに不適切な契約?
保険や金融業で一番のターゲットになるのは高齢者です。
特にリスト化されているものであれば高値で取引されているそうです。
マイホームの支払いが終わり、退職金の使い道や贈与・相続のことを考え始めている世代が一番のマーケット(≒ターゲット)だと言えます。
かんぽ生命の新しい保険に乗り換えた・切り替えたで保険料が上がる?
この文言に関しては少々、首を傾げる部分もあります。
新しい保険に乗り換える=契約した年齢での契約とのなるのか保険の常識です。
・それはもっと噛み砕けば『歳を重ねると保険料は上がる』ということです。
この文章だけでは、
保険料が年齢によって上がるということも理解できない高齢で自力理解がしにくい顧客をターゲットにしていたのか?
あるいは、
・保険料は上がらないと嘘をついたのか(これはほぼあり得ない)
・お願いで加入してもらったが納得いかない人数が5800件あったのか
という3つだと考えられます。
『保険は顧客本位であれば何も言えない』は嘘。
保険や金融商品に関しては金融庁が管轄していますが、加入者に有益であれば問題ないという考えではないようです。
理由としては別記事でお話している『節税保険』や『相続保険』『損金扱いの保険』なども『保険』として商品の経済合理性を重んじていると言えます。
かんぽ生命は今回そもそも何を金融庁に怒られたのか
高齢者に対し、理解度の確認を怠る(意向確認と呼ばれる契約行程です)など不適切な手続きで投資信託を販売していたことが発覚したそうです。
お気づきの通りそもそも保険を契約していたのが、投資信託になっていたら、流石に高齢者も驚くでしょう。
実際、定期預金の金利が低く金利が少しでも良い商品で、お客さんに「お金が増えますよ」と提案したいのも理解はできます。
ノルマも理由にはあると思いますが、『意向確認』という加入者の意思確認や加入が加入する商品に理解が深ければこのようなことにはならなかったと言えるでしょう。
かんぽ生命の9割で違反
この数字にも驚きですが、かんぽ生命側の数字は内規違反と発表されていたので金融商品取引法などの抵触していたかは定かではありません。
逆を言えば内外規共に違反をしていたケースや、公にされていない事案もあるはずです。
9割の違反、コンプライアンスは脅威
メガバンクや地銀、信託銀行・保険会社が本当にお客さんの意向を確認し、お客さんが商品の特性やデメリットを理解しているかは首を傾げる部分だと言えます。
今回発表されたかんぽ生命の直営店9割での内規違反は、生命保険業界の締め付けをさらに厳しくして、『お客様のためではなく、自己防衛のための重要事項説明』になりそうです。
高齢化と保険という敷居の高さ
高齢化に伴い、最近の生命保険会社では高齢者の契約には親族の立会いなどが推奨されていますが、なかなか全案件で親族立会いの商談をすることは難しいと言えます。
さらに、高齢者は銀行員や公務員ほど信用する傾向にあり、かんぽ生命は元々民営化される前の印象が根深く残っていると推測できてしまう。
保険会社については、「あなたを信用している」「あなたに任せる」と言いたいところですが、しっかり加入する商品を理解しないと一生で何百万円もの出費を『浪費』してしまう可能性があります。
保険は難しい、しかし、『かんぽさんに一任は危険』
保険は確かに、仕組み上難しいものも多くあります。
しかし、理解していないものに加入するのは、行き先の見えない船に乗るようなものです。
今回のかんぽ生命は苦情から発覚しているが、発覚せぬまま満期を迎えている加入者が今までどれだけ多くいるのでしょうか。
むしろ、今この記事を読んでいただいている皆さんが毎月払い続けている保険は大丈夫でしょうか?
かんぽ生命 新商品の販売とともに苦情が増加
過去の契約を新しい契約に変更する「乗り換え」はかんぽ生命かどうかを問わず変わります。
具体的には、かんぽ生命で25歳で医療保険に入り、新商品が発売され40歳で加入すれば、当然ながら40歳の年齢で保険料は算出されます。
そうすると、すべて解約をせずに『上乗せ』できる部分だけで十分、加入者が満足する保険内容だったというケースも出てくるのです。
『かんぽ生命の決定的なこと』を一流はこう読み解く
一流養成学校として、久しぶりにお話しをまとめさせていただくと、今回のかんぽ生命の不適切販売は現場と内部との温度差にあると言えます。
そもそも、新商品の理解ができていなかった可能性もありますが、9割の契約に不備や違反が見つかれば支店単位で言えばトップセールスも営業トークで違反になる手法を使ってしまっていたということです。
ここで言いたいことは1つです。
『一流のセールスは飲まれてはいけない渦がある』
ということです。
社風もふくめ、かんぽ生命は今回の事案を認知しないというコメントも出ているが、認知を会社側がするかどうかではなく、今後の加入者や今の加入者がどう思うかに注力するべきだと気付けるのが一流なのではないでしょうか?
「顧客にとって乗り換える経済合理性が乏しい」商売もある
今回のかんぽ生命での不適切な契約行為で、メディアには「顧客にとって乗り換える経済合理性が乏しい」という文言があります。
しかし、「顧客にとって乗り換える経済合理性が乏しい」と思っても契約をしたい、と思う顧客心理はあります。
これは金融商品以外にも言えます、クルマは特に代表的ではないでしょうか?
一流養成学校はただのニュースサイトではないので、ビジネスマンとして、問題を読み解く、セールスとしてどこにニーズやチャンスがあったのかをしっかりお伝えしていきたいと思っています。
顧客との関係がしっかりできていれば全く問題のない事案なのが、かんぽ生命の不適切契約なのです。
クルマの販売ではカーディーラーでまだ乗れるクルマを乗り換える。
言い換えれば保険もこれとほぼ同じです。
何が違うかというと眼に見えるか見えないか。
そして、『営業マンとの信用』です。
信用はコミュニケーションで成り立ち、行動で地固めをします。
今回のかんぽ生命が仮にもコミュニケーションできていれば、ここまで大きなことにはならなかったでしょう。
日本郵政グループは一丸となってコンプライアンス(法令順守)を徹底していきたいと話しているが、コンプライアンスやガバナンス(統制)をしている間に顧客離れはどれだけ影響があるのか。
と想像すれば、『やるべきことはやるべき時にやっておく』というのが一番です。
今から続々出てくる、『不適切な契約』