新興国投資を忘れる日本の投資家、米国株の次の経済トレンド

新興国投資を忘れる日本の投資家、米国株の次の経済トレンド

新興国投資を忘れる日本の投資家、米国株の次の経済トレンド

株式投資や投資信託・ETFで『米国』が絡む金融商品の紹介が多く、その理由としては長期間に渡り経済成長を続け、GAFAなどの国際的リーディングカンパニーを保有している国だからだと理由付けすることができます。

しかし、アメリカが先進国だからという理由で自己資産を拠出している投資家は少ないはずです、

逆に言えば、先進国の日本はどんどんと外貨運用が進み、自国通貨での運用が鈍化しているのも事実です。

では、

『先進国=安定』『新興国(エマージング)=リスク』という何か当たり前のようになった概念を取り崩すと、急に見えてくる『投資チャンス』があります。

今回はそんな先進国をあえて選ばない選択肢がどれだけ有益なものか、を解説し先進国を選ばず新興国を選ぶとすればどのような点に目線を置くべきか解説をしていきます。

昨今の円安を『悪い』と表現するのはなぜか。

悪い円安の原因

アメリカの中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)が、2020年3月に始めた『ゼロ金利政策』を終了させることに原因があります。

つまりアメリカは金利を上げるため、日本は継続してゼロ金利であるため、アメリカに資金を移す方が運用益が生まれるという非常にわかりやすい原因があります。

もちろん、日本が金利を引き上げればこの円安の流れ止まりやすくなりますが、日本政府としては円安に恩恵があるため金利を上げることをしようとしていません。

▷▷▷『悪い円安』で投資家もお金持ちも会社員も苦しむ理由

参考:新興国と発展途上国の違い

私だけだったかもしれませんが、どうも発展途上国と聞くとインフラが整っていない貧しい国をイメージしていました。

義務教育で学んでいるはずですが、私自身勉強をし直して初めて理解した部分もあるので補記しておくと、発展途上国の中の新興国で経済紙で出てくるキーワードの『BRICS』もすべて新興国です。

つまり、

アリババやファーウェイ・レノボなどの世界シェアを抱える中国も新興国なのです。

BRICSとは?

2001年ごろから「新興国」の中で経済や金融で影響を与えるだけの市場シェアを持ち、成長が著しい国をまとめて総称されるようになりました。

BRICS=ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカです。

元々は新興国通貨などへの投資や経済ニュースでGAFA同様に使われていましたが、その後政治家や外交での単語として活用されるようになりました。

新興国への投資は『BRICS』ではなくなっている

中国自体は他の国から先進国ではない、と言われているわけではなく、中国自体が先進国という認識はない!と強くアピールしています。

しかし実際下記の参考図を見てもわかる通り、中国とその他のBRICSに含まれる国では大きな差が生まれています。

名目GDPに占める中国の割合は、新興国全体の約40%、BRICS全体では60%を超えていることがわかります。

出典元;日興アセットマネジメント

そのため、現在多くの新興国投資は中国への投資と考えてもいいでしょう。

新興国、中国への株式投資などはできるのか?

アメリカへの投資というのは、これまでも多くお話をしてきましたが、中国企業の株を日本から購入できるのか?

という根本的な疑問に、先に回答しておきます。

中国企業への株式投資方法

新興国株式が浸透しない理由

まず日本人を含む外国人投資家は中国企業の株を購入することはできます。

中国企業への株式投資が日本でポピュラーでない理由は中国企業の株の売買を取り扱っている証券会社が少ないということです。

ネット証券では楽天証券が代表で、それ以外ネット型でないSBI証券やマネックス証券で売買ができます。

特に、近年ではネット証券での取引が多いため、中国企業の株を買う環境自体が揃っていない場合が多いと言えます。

ちなみに、今紹介した証券会社では証券総合口座を開設すると、外国株取引の口座も同時開設される仕組みになっています。

香港株の仕組み

香港証券市場は国際市場として運営されていて、日本の東証プライムとグロースのようにメインボードとGEM(Growth Enterprise Market)に分かれています。

では、ここから一気に投資での有益性に話題を変えていきます。


中国を含む新興国の企業は割安が探しやすい

先進国の企業の株価は高い

シンプルに考えて、米国株への注目というのは非常に高く、ドルとユーロなどを比較しても流通量に大きな差があるため、何かあれば『ドル』であり、アメリカが選ばれる経済なのは事実です。

つまり、アメリカには資金が集まりやすいということは割高感がある企業が多いとも言えます。

新興国は前述通り、株式投資をするにしても限られた環境なので資金流入が少ないと言えるのです。

そのため、新興国は割安企業を探しやすいとも言えます。

実際PER(予想株価収益率)で比較しても先進国と同等の売上や規模感であっても割安な企業が多いです。

PERで比較するとは、先進国の18倍であることに対して新興国は12倍と、3割ほど割安であることもわかります。

景気の底上げをするのは新興国

先進国のブランドが落ちている

新興国企業の利益は、2022年さまざまな事案によりマイナス成長が見込まれていますが、2022年以降は先進国を上回るともする論述も散見されることから、景気の底上げは新興国にかかっているとも言えます。

なぜ新興国が景気の底上げ役となるのか

新興国の個人消費は生産年齢人口の低さも影響し、非常に高いとされており新興国が消費大国に化ける可能性は多いにあると言えます。

その代償と言えるのは現在の物価高です。

消費する量が増えるということは需要過多であり供給量が同じであれば必然的に物価高傾向の経済動向になります。

特に今まで流通インフラの都合で食することができなかった物が食べられるようになり、経済成長による所得の上昇で特に魚介類は品不足となる可能性が高いと言えます。

生産年齢人口とは

生産年齢人口とは生産活動の中心にいる人口層のことで、15歳以上65歳未満の人口を言います。≠労働力人口

*労働力人口は、労働の意思と労働可能な能力を持った15歳以上の人

ブロックチェーンなどのWeb3.0への移行は新興国に味方

日本やアメリカなどの先進国はすでに公共インフラが整っており、銀行口座も一人1口座以上を保有して、社会的な独立と経済力を確保するだけの環境が整っていると言えます。

しかし、先進国は地域格差が大きく銀行などの金融機関が遠方にあり、現金の管理が非常に難しい地域がまだ多く存在しています。

その点DeFiなどのテクノロジーを活かせば、環境的要因をクリアすることが可能とも考えることができます。

参考:現在の国際送金事情と新興国の現実

現在の国際送金は『SWIFT』を用いています。

通貨の両替を行う「コルレス銀行(中継銀行)」をいくつも経由して送金を行います。

そのため、多くの送金手数料や時間がかかります。

つまり、新興国と先進国が取引を仮に行うとしても現金の行き来にタイムラグがあり、手数料もかかるという現実があります。

しかし、WEB3.0で頭角を見せているリップルなどの暗号資産は送金ネットワーク「RippleNet」を利用し送金は約3.3秒で完了します。

さらに送金手数料も国際送金と比べて大幅に低く1回のの送金で、約0.0004ドル(日本円で約0.045円)程度になります。

このことを考えると潜在的に抱えてきた金融インフラのハンデはクリアできる可能性があるのです。

後発開発途上国のシェアやユニコーン企業は新興国

すでにスマートコントラクトやDeFiといったブロックチェーン技術により、中国以外の新興国のスタートアップ企業も登場しています。

インドやベトナム・中南米は学習意欲が非常に高く、先進国との距離が近づくのは時間の問題とも言えます。

ちなみに、NFTゲームで人気のAxie Infinity(アクシーインフィニティ)は、Sky Mavis社というベトナムのブロックチェーン関連企業が運営しています。

もちろん、新興国は先進国向けの製品やサービスを開発することは予想できますが、国の代表となる企業になるまでは時間がかかります。

その中で、後発開発途上国へ格安のサービスなどを提供すると、数で勝る現象も起こる可能性があります。

ここで新興国への投資ポイントをまとめます。

新興国への投資ポイント

  1. 新興国への投資は、割安企業を見つけやすい
  2. 生産性人口の層が若いため潜在的ユーザーが多い
  3. 新興国のスタートアップ企業は注目度が先進国よりも低い
  4. WEB3.0による地域格差・国のインフラ格差が減る
  5. 先進国がコストパフォーマンスで新興国のサービスや製品を求める可能性

この5点が新興国に関係する投資の先見性のベースになると考えられます。

新興国の投資で知っておくべき『デカップリング 論』

デカップリングというのは、経済成長とエネルギー消費量は相対性を持ち、その相対性をなるべく再生可能エネルギーに変換し、省エネ・再利用・循環利用等を推奨させるという意味合いでも持ちれます。

ですが、ここでのデカップリング論は金融証券用語での意味合いで、

日米欧の主要国経済が後退してもBRICsなどの新興国経済は連動せず内需主導で成長を続けるという考え方のことです。

デカップリング論の重要性

先進国で低迷と言えば、残念ながら日本が挙げられます。

特に少子高齢化による生産年齢人口の落ち込みは長期化した内需の落ち込みも想定できるためです。

『お金を生み出し、お金を使う層』が多いという点で言えば、アメリカは優れています。

2008年のリーマンショックの際に、先進国経済に大きなダメージを負った際、新興国への影響はほぼ皆無であったことがわかっています。

もちろん、リーマンショック時に先進国は世界的な金融危機として政策金利を引き下げ、日本では日経平均が大暴落し自国のバブル崩壊後以上の落ち込みを見せました。

この頃に派遣切りなどの製造業が社会問題となり、先進国での『経済恐慌』は先進国同士で影響を与えると考えることができます。

つまり、

先進国は独立国ながら国際経済の情勢に影響を受けやすい

一方、新興国は内需の需要が多いため経済は国内で循環していくため外部からの影響を受けにくい

と考えることができます。

先進国と新興国の経済成長性に相関性はない

=内需で経済が回る

日本が逆に『新興国』になれない

『日本が先進国でなくなる』ことに『安心をしてはいけない』理由という過去の記事で日本の円安やインフレ・スタグフレーション・後継者問題・少子高齢化が今の日本の優位性にどこまで影響してくるかをかなげると危機感はやはり必要だと言えます。

と伝えてきました。

でなければ、先進国でいられなくなる可能性があるという書き方をしました。

しかし、この新興国の内需の強さなどを考え、生産年齢人口を加味すると、新興国にはむしろなれないと言えるのです。

むしろ、先進国は惰性で経済を支え、新興国でリーディングカンパニーが続々で誕生し始めた場合、ますます自国通貨の円に価値が見出せなくなっていくでしょう。

 

参考:日本が先進国としてどんな実績を出しているのか

引用元:JETRO日本に投資するべき理由』より

日本が先進国として胸を張れるのは『経済力と科学技術力』だと言われています。

名目GDPは賛否があっても世界第3位なことには変わりなく、実は前述した先進国首脳会議(G7)に加盟しているのはアジア圏では日本だけだというのも事実です。

*賛否されるのは政府債務がGDPの2倍以上であるため,GDPが高いことに優位性がないという見解が多い。