- 1. 『仮想通貨・暗号資産・ブロックチェーン』と損害保険業界(損保)と関係
- 2. 損保業に『仮想通貨・暗号資産・ブロックチェーン』
- 3. 損害保険業界(損保)と『仮想通貨・暗号資産』=国内初の仮想通貨交換事業者向け賠償責任保険=三井住友海上
- 4. 損害保険業界(損保)と『仮想通貨・暗号資産』=国内初の不正ログイン補償=東京海上日動
- 5. 損害保険業界(損保)と『仮想通貨・暗号資産』=スマートコントラクトの活用=東京海上日動
- 6. 損害保険業界(損保)と『仮想通貨・暗号資産』=国内初の電子マネーによる保険金支払い=損保ジャパン
- 7. 【まとめ】『仮想通貨・暗号資産・ブロックチェーン』と損害保険業界(損保)と関係
『仮想通貨・暗号資産・ブロックチェーン』と損害保険業界(損保)と関係
ヤバい損保業にチャンスは『仮想通貨・暗号資産・ブロックチェーン』
将来性が見えにくいレッドオーシャンの損保業界を救うきっかけになりそうなのが、『仮想通貨・暗号資産・ブロックチェーン』です。
損害保険業界(損保業)は現在、非常に厳しい時代になっています。
若者のクルマ離れや高齢化に伴う免許返納、火災保険は戸建より共同住宅(マンション)が多く保険料単価が低いのも特徴です。
高齢者が老人ホームに入居するだけで保険料収入が減っていくことになります。
更には昨今のコロナ恐慌でビジネスが止まれば新規での加入は見込むことができず、保険金支払い事案ばかりが増えていきます。
さらに、大手メガ損保は大きな支店・支社・研修所・社員寮など、固定コストが多い経営をしています。
その中で損保は保険の見直し競争で顧客・加入者を奪い合い、法律スレスレのトークで契約を取り合います。
損保業に『仮想通貨・暗号資産・ブロックチェーン』
急拡大・急成長と言える仮想通貨・暗号資産業界は、多くのリスクを自社の内部留保だけで対応してきた経緯があります。
仮想通貨・暗号資産の紛失・不正利用・ハッキングなどさまざまな利用者・顧客の不安に応える必要がありました。
そこで三井住友海上火災保険と損保ジャパン日本興亜はビットフライヤー、東京海上日動火災はコインチェックとの提携を行いました。
補足:過去のハッキング事件(Coincheck事件)
Coincheck(コインチェック)事件は2018年1月26日に仮想通貨のネム(NEM)がハッキングされ、大きな被害が発生しました。
被害額は約580億円と報道され、業務改善命令が金融庁からCoincheckに出されました。
損害保険業界(損保)と『仮想通貨・暗号資産』=国内初の仮想通貨交換事業者向け賠償責任保険=三井住友海上
三井住友海上火災保険は株式会社 bitFlyerと仮想通貨・暗号資産交換事業者向けの損害賠償責任を補償する保険を共同開発しました。⇨ビットフライヤーについての詳細記事
具体的には仮想通貨・暗号資産交換事業者を行う会社の仮想通貨・暗号資産の決済サービスに関わる 損害賠償責任を補償する保険を共同開発しました。
仮想通貨・暗号資産交換事業者を行う会社の仮想通貨・暗号資産の決済サービスで補償条件を満たす加盟店を対象に決済代金が回収できなかった場合などに補償されます。
さらには、損害賠償請求等を行なった際に起こった、訴訟費用や自動車保険同様に弁護士費用などの訴訟費用も補償対象となります。
損害保険業界(損保)と『仮想通貨・暗号資産』=国内初の不正ログイン補償=東京海上日動
東京海上日動火災保険はヤフーグループの関連会社で仮想通貨交換所である『TaoTao』での不正ログインによる顧客の損失を補償を開始しました。
不正ログインにはログインIDやパスワードの盗難による『なりすまし被害』も含まれており、出金先の銀行口座に日本円で不正に出金されると補償対象になります。
東京海上日動の不正ログイン補償は、エンドユーザーである仮想通貨・暗号資産の交換所を利用する顧客・ユーザーに対しての補償であることも注目点です。
しかしながら、損失を被った場合、1回の保険金請求で最大100万円までの補償です。
決して多いとは言えない額であり、ブロックチェーンを活用しスマートコントラクトを使えばもう少しスムーズで使いやすい補償になりそうです。
『TaoTao』での不正ログインに対する補償の適用対象
- 出金先銀行口座に日本円で不正に出金されたこと
- 2段階認証の設定をしていること
- 出金先銀行口座情報の変更時および出金先銀行口座に日本円を出金する際に2段階認証を設定していること
- ログインIDやパスワードの盗難または不正出金の発生した際、直ちに所轄警察署およびTAOTAOに通知していること
筆者の見解と補足
不正アクセスなどによって顧客やユーザーへの損害が発生した場合、実は損害を被ったのは仮想通貨・暗号資産の取引所・交換所であるという見解があります。
そのため、被害届は受理されなかったというケースもあるようです。
まだ仮想通貨・暗号資産への法整備は追いついていないため、補償があってもセキュリティには十分気をつける必要があります。
損害保険業界(損保)と『仮想通貨・暗号資産』=スマートコントラクトの活用=東京海上日動
東京海上日動は、スマートコントラクトによって保険契約時の契約内容・保険金支払い条件に合致するかを自動で判定する仕組みを検証しています。
スマートコントラクトを活用すれば、保険金支払い事由に該当すれば承認・該当しなければ否決という自動化を図ることができます。
筆者の見解と補足
もしも、スマートコントラクトで保険金支払いの承認の可否ができるようになれば、保険金支払いセンターやアジャスター・事故調査員などの人員は大幅に削減することができます。
しかし、これは大幅な雇用の減少にも繋がるとも言えます。
損害保険業界(損保)と『仮想通貨・暗号資産』=国内初の電子マネーによる保険金支払い=損保ジャパン
損保ジャパンは『電子マネーによる保険金支払いサービス』を日本ユニシスと共同開発を開始し、実用は2022年5月目処となっています。
この『電子マネーによる保険金支払いサービス』は日本ユニシスが運営する電子マネーのオンラインチャージ基盤『doreca』を利用することで、保険金支払いのスピードを格段に上げ、最短で当日保険金が支払われることになります。
ここで留意するべきなのが、保険金を電子マネーで受け取る際、現在は支払保険金額が10万円以下であり対象種目は傷害保険のみとなっています。
補足:電子マネーと仮想通貨・暗号資産とデジタル通貨
筆者の見解と補足
保険金を電子マネーで受け取る際、現在は支払保険金額が10万円以下で傷害保険(ケガの保険)という縛りにより、利用できる対象は非常に少ないと言えます。
現実的には今後保険金支払い金額の上限が上がらない限り自動車保険などではほぼ使えないと言えます。(等級ダウンによる保険料増額を配慮するため)
そのため、元保険営業マンとして思いつくのは、火災保険の家財などに対する保険金でしょう。
あるいは、レジャー保険やイベント保険などの保険による保険金支払いであれば10万円以下も想定できます。
【まとめ】『仮想通貨・暗号資産・ブロックチェーン』と損害保険業界(損保)と関係
試作・テスト段階のものも実用化されているものも含め、仮想通貨・暗号資産・ブロックチェーンのことを理解できるかどうかで、損害保険会社に在籍している社員のキャリアは大きく変わってくることは間違いないと言えます。
今回は損害保険だけの記事ですが、生命保険でも仮想通貨や暗号資産などを取り入れる方向になっています。
資産運用や投資だけでなく、必要最低限の知識として、仮想通貨・暗号資産・ブロックチェーンの情報は取り入れるべきだと言えます。