共働き世代の30代向けに「103万円の壁」改正をわかりやすく解説

共働き世代の30代向けに「103万円の壁」改正をわかりやすく解説

共働き世代の30代向けに「103万円の壁」改正をわかりやすく解説

「103万円の壁」とは?

「103万円の壁」とは、主に配偶者(パートやアルバイトなどで働く方)の年収が103万円を超えると税負担が増えるラインを指します。この壁を意識する理由は以下のような税制上の仕組みや影響があるからです。

具体的な仕組み

  1. 所得税が発生するライン
    • 年収が103万円以下の場合、**基礎控除(48万円)給与所得控除(55万円)**を差し引くと課税所得が0円になり、所得税がかかりません。
    • しかし、年収が103万円を超えると課税所得が発生し、所得税がかかります。
  2. 配偶者控除の縮小
    • 配偶者の年収が103万円以下の場合、扶養者(主に夫)が配偶者控除を受けられ、税負担が軽減されます。
    • 年収が103万円を超えると、控除額が減額され、配偶者特別控除に切り替わります。
  3. 住民税の壁(96万円)
    • 一部自治体では、住民税が発生するラインが年収96万円以上に設定されており、103万円以下でも住民税がかかる場合があります。

なぜ「壁」と呼ばれるのか?

このラインを超えると、税負担が増えたり、控除が減少したりするため、結果的に手取り収入が減少するケースがあります。特に、収入が増えた分以上に税負担が増える「手取り逆転現象」が起きる可能性があり、多くの家庭が103万円を意識した働き方を選ぶことになります。

例:103万円を超えた場合の影響

  • 103万円以下
    • 所得税:0円
    • 配偶者控除:満額適用(38万円)
    • 住民税:非課税(多くの自治体で96万円以下の場合)
  • 120万円の場合
    • 所得税:課税開始(課税所得 = 年収120万円 – 給与所得控除55万円 – 基礎控除48万円 = 17万円)
    • 配偶者控除:減額(配偶者特別控除に切り替わり、控除額が減少)
    • 住民税:課税開始

「103万円の壁」の注意点

  • 「壁」は税制だけではない
    年収130万円を超えると、社会保険の扶養から外れる「社会保険の壁」も存在します。これにより、健康保険料や年金の負担が発生します。
  • パート主婦(主夫)だけでなく学生も影響
    学生アルバイトも「103万円の壁」を意識することが多く、特定扶養控除の適用範囲に影響を与えます。

配偶者の収入が年103万円を超えると、以下の影響が出ることから、多くの家庭が気にするラインです:

  • 所得税・住民税が発生:控除が受けられなくなり、税負担が増える。
  • 配偶者控除の縮小:扶養者側の税負担が増加する可能性がある。

改正案のポイント

2024年末に向けた政府の税制改正案では、「103万円の壁」を以下のように見直す方針が示されています:

  • 所得税の控除額を引き上げ
  • 給与所得控除と基礎控除をそれぞれ+10万円引き上げ、123万円に。
  • 所得税がかかり始めるラインが上がり、手取り収入が増える。
  • 住民税の控除額の扱い
  • 基礎控除は据え置き、給与所得控除のみ+10万円引き上げ。

住民税非課税ラインはわずかに上がるが、所得税ほどの恩恵は受けられない。

家計に与える影響

改正案が実施されると、以下のような変化が期待されます。

手取り収入が増える
年収103万円から123万円までの範囲で働く人の税負担が軽減されます。たとえば:

年収120万円の場合、約1万~2万円の減税効果。

共働き家庭の選択肢が広がる
パートやアルバイトで「103万円の壁」を意識せずに働きやすくなる。

学生アルバイトにも恩恵
特定扶養控除の基準額が150万円に引き上げられるため、学生もアルバイト収入を増やしやすくなります。

課題と限界

  • 住民税の基礎控除は据え置き
    地方財政への配慮から控除額の引き上げが見送られました。これにより、低所得層の支援が十分でないとの指摘も。
  • 減税規模が小さい
    国民民主党案のような大幅な減税(年収178万円ライン)に比べ、経済効果は限定的です。
  • 「社会保険の壁」は依然として存在
    年収130万円を超えると社会保険料の負担が発生するため、このラインを超える働き方には慎重になる必要があります。

共働き家庭が取るべき対策

  1. 年収シミュレーションを活用
    改正後の税負担や手取り収入を計算し、働き方を見直しましょう。
  2. 住民税の影響も確認
    所得税だけでなく、住民税非課税ラインの変化にも注意が必要です。
  3. 社会保険の負担を考慮
    年収130万円以上を目指す場合、社会保険料がかかることを念頭に入れ、長期的な家計プランを立てましょう。

【まとめ】共働き世代の30代向けに「103万円の壁」改正をわかりやすく解説

今回の改正案は「103万円の壁」を一歩緩和する内容ですが、抜本的な改革には至っていません。それでも、パートやアルバイト収入の選択肢が広がる点は、共働き家庭にとって朗報です。これを機に、家計全体の収支を見直し、より柔軟な働き方を模索してみてはいかがでしょうか?