なぜ私たちはお客様を恐れるのか

なぜ私たちはお客様を恐れるのか

なぜ私たちはお客様を恐れるのか

私たちはお客様は神様だ、という教育を受け社会に出た兵隊でした。

それがいつしか神様はお客様ではなく、お客様は悪魔だと思う様になりました。

ワガママ放題の顧客

子供の反抗期のようにイヤイヤが始まり、自分に対する待遇だけでなく

第三者に関することまだツベコベと口を出してくる。

そんなお客様は気がつけば結婚し、さらに子供を産む。

その子供はさらにまた子供を産む。

結果として一家総出で店や会社へクレームを言い放つようになります。

お客様を想いすることをぶち壊す客

例えばお店が最新の自販機を入れたらLEDが眩しく目障りだと言われ、新しい商品を置けば古き良きがあるのよ、とバカにされる。

つまり、お客様という神様は進歩を嫌い変化を嫌う存在なのです。

客テロ・炎上問題

SNSの普及で客による迷惑行為によって店が閉店するということも意外なほどあります。

注目というのは浴びたくない方向から浴びると大きな会社ですらひっくり返ってしまうのです。

むしろ、商売は続けたいけどお客様が怖いというのが本心だという経営者も多いはずです。

選挙とサービスは相対的

選挙演説で若者向けの演説をするとどうなるか、

具体的に言えば仮に後期高齢者向けの年金を9割カットして日本全国の大学の無償化をしますと言えば

まずその候補者は当選しません。

なぜなら年寄りの方が多いからです。

年寄りは使い慣れたものを使い続け便利など不要なのです。

それが日本のサービス業を衰退させた一つの原因でもあります。

最新技術・テクノロジーを嫌う顧客を多く持つと、サービスも停滞してしまうのです。

基本的に年寄りに目線を合わせないと日本ではウケない=サービスとして成立しない

と考えることができるのです。

お客様を拒否する時代へ

ホテルなどでは旅客規定などが改定され、カスハラと判断できるケースが箇条書きに書かれ、

それに該当すればサービスの提供を断ることができる時代になりました。

昭和の価値観を貫き生きている営業マンからすれば信じがたいでしょう。

「これを買わせろ」と言われても「いやです」ということが通用する時代になったのです。

買わせない・売らない、譲らないビジネス

簡単に言えば、売りたくない客には何も売らないし、来てほしくないから来ないでくれ、という時代になったということなのですが

実は少しずつそんな商売のスタイルは浸透しつつあったことに気付かされます。

フェラーリが買えない。

ロレックスが買えない。

エルメスが買えない。

予約が取れないレストランやホテル

増えたと思いませんか?

お客様は神様ではなく、サービスや商品を提供する側が神様を選ぶという時代になりつつあるのです。

サービスや商品を提供する側が神様を選ぶ

サービスや商品を提供する側が神様を選ぶ時代となり、利用者・顧客を選ぶ市場が拡大し、

ユーザー・顧客心理にも変化があります。

買わせてもらう・売ってもらう・譲ってもらうということに購買欲が湧くということです。

例えば、エルメスのバーキンを売ってもらうために、そんなにほしくもない商品を買わせてもらうのです。

これは商売という一つのカテゴリーで革命が起きたとも言えます。

それに付随して多様化がさらに付加価値を増幅させて屈折した市場が生まれているのも事実です。

お客様を怖がる世代の経済

ふと、中高年ギリギリのバブル弾ける寸前の世代はこんな自称神様という顧客に苦しんだ経験を持ちますが、

今の世代は果たしてこんな不可思議な神様を理解できるのだろうか。

そう思ったのですが、今20代の前半の若い社会人の多くはそんな『害』を避けて生きてきた世代でもあるのです。

私が一番驚いたのは、営業マンが接待で苦しみ明け方の街で倒れている姿は正直見慣れた景色でした。

『shibuya meltdown』という言葉をご存知でしょうか。

今では酔っ払い、泥酔した姿すらもSNSでは一つの作品になるのです。

ここでピンと来た方もいると思いますが、

カスハラや勘違いした客が飲食店などで暴れている姿は、もはや動画で拡散されるとエンターテイメントの一つになっているのです。

なぜ私たちはお客様を恐れるのか

この時代の恐怖を感じさせるお客様という存在は総じて向上心をぶち壊す存在なのです。

新入社員がお客様に激昂され、出勤拒否になった。

メンタルが弱い、打たれ弱いなど言っていられない業界がたくさんあるのです。

何百万円とかけて求人広告を打って、お客様のために、サービスを維持するために経費を使っても

その努力はお客様によってぶち壊されてしまうのです。

世の中には『ちょうど良い塩梅』は存在しますが、それは『普通』と言い換えることもできます。

色鮮やかなら派手、シンプルなら地味。

結局何を求めているか、は絞り込んだターゲット層に当てないとブレて誰にも当たらないサービスとなってしまうのです。

そして、今自分のお店やサービスのお客様は明日違う店やサービスを使う浮気心を持つ者だと心得ておかなければなりません。

そう思えば、お客様という存在は恐怖を感じさせ恐れる存在だと言って間違いないでしょう。