住宅ローンの金利が上がって払えない人が急増する寸前の今

住宅ローンの金利が上がって払えない人が急増する寸前の今

住宅ローンの金利が上がって払えない人が急増する

大手銀行が固定型の住宅ローン金利を一斉に引き上げるのは、

2022年の年の瀬に『打ち込まれた』とも言える日本銀行の政策修正で長期金利が上昇したためです。

そのことで大手メガバンクは住宅ローンの固定金利を引き上げを発表しました。

逆に据え置くことができた大手メガバンクはりそな銀行、三井住友信託銀行でした。

今から実際どれくらい私たちへ影響を与えるか額面でもお伝えしますが、

少なくとも住宅ローンを組んでいるほとんどの方々は今の物価高、スタグフレーションの状況下で、支出のみがさらに増えるという状況になることは確かな事実です。

日本の85%以上が金利上昇で家計の圧迫?

日本は新築の戸建や分譲マンションなどを購入する84.1%は住宅ローンを使用しています。

もちろん、中古物件を合わせても数値上同じように高い比率で住宅ローンを使用しているのが現状で、住宅ローンの平均借入額は金融機関等によっても乖離がありますが平均で2000万円〜4000万円の融資を受けています。

平均融資額の中央値付近の3500万円のマンションを参考に金利を見ていくと、0.1%の金利差で支払額に70万円差が出ます。(35年ローン)

2022年12月末日執筆時現在でもっとも引き上げ率が高くなったみずほ銀行は0.3%の引き上げを行います。

つまり前述の例で言えば35年間での総支払額は210万円増え、年間6万円支出が増えることになります。

変動金利で『安さ』を取った購入者層が住宅ローン破産の対象か?

住宅ローン利用者の7割を占める変動型の金利は執筆時現在は変動なしですが、今後どうなっていくかによって相当のリスクが降りかかってくる可能性があります。

変動金利が上がっていない理由

固定金利と変動金利の仕組み

変動金利の算出と固定金利の算出方法が異なるのが一番の理由です。

簡単に言えば、

  • 固定金利は「新発10年物国債」の利回り
  • 変動金利は日銀の金融緩和政策次第+金融機関の努力

固定金利は新発10年物国債が上がれば連れ高になってしまうので、金融機関はどうしようもありません。

一方、変動金利は一定の金融機関の粗利益を削る枠があるため、利用客を呼び込むための金融機関の利益率である割合を減らすなどして低金利状態を継続させています。

ちなみに変動金利で金融機関が儲かるのは変動金利が0.4%ほどであれば0.1%ほどです。

あとの0.3%は金融機関で調達した資金の手数料や金利などのコストなのです。

つまり

3500万円のマンションに融資をつけても年間3.5万円しか儲かっていないのです。

そもそも金融機関も1%ほどしか粗利益がないため、これ以上の金融機関としての企業努力は難しいと言えます。

変動金利が爆上げすれば、自己破産して家を手放す人が続出

今回の固定金利の引き上げ前から変動金利は近々『爆上げ』する言われていました。

2008年のリーマンショックを皮切りに超低金利時代となっています。

つまり、割高な金利で住宅ローンを組んでいる利用者が残りわずかだということです。

この算出だと早すぎるのではないか?と思われるかもしれませんが、生命保険や損害保険の新商品が発売され変えて欲しいと営業マンがお願いするのと同じ理由です。

営業マンは他の銀行から融資を受けている住宅ローン利用者を必死で自分の銀行で借り換えを促します。

それが営業の仕事であり、早期完済や団体信用保険の適応になるような事案もあるため、平均すると2025年には変動金利は上げなければ銀行こそ経営破綻のリスクがでてきます。

変動金利を爆上げさせる銀行の裏側

2025年までに今の高給取り層(次世代団塊世代)をどうにか早期定年制度や子会社出向などで減らさないと、ここからの10年間は50代の銀行員が多いため人件費が高く推移する時期に突入してしまいます。

もちろん、この大きな問題に取り組まなければ銀行は窮地に陥りますが、この大きな問題と立ち向かうのが、この問題の対象である高給取り50代の役職者なのです。

役職付きになってようやく楽ができると思っている時に、

  • 自分が会社を追われる制度
  • 自分の給料を減らす制度
  • 自分のキャリアダウンを促す制度

を客観視して作れる行員がどれだけいるのか、と言われると非常に難しく結果として金利を上げる選択肢を取り、「利用者にお願いしよう」となるのは今の日本の企業や政治を見ていると想像がつきます。

参考:メガバンクや保険会社などはこの『次世代団塊問題』をクリアするため、早くから採用抑制や早期退職を推奨させ、保養所などの資産売却を行なっていました。

住宅ローン破産の対策はない?

住宅ローンの長期金利が上がって、手を挙げずとも内心ドキドキしている方はどうすればいいのか、というと、実はそこまで大きな策は今の所ありません。

借り換えを検討する前に、

今後まだ金利が上がることを視野にいれて早く資金を確保すること(貯金をすること)が得策なのです。

高い家を買って後悔しても『どうにかならない』

「どうにかなるか」と言いたいところですが、前述通り今後金利が上がる可能性などを楽観的に考えるのは住宅ローンに関しては危険です。

早ければ早いほどダメージが少なくなるものです。

手出しで貯金を削って資金がない状態から借り換えを検討しても、融資の審査が通らないということがあります。

逆に「ヤバい」と思ってすぐに対策し、一定期間の返済猶予を申請してキャッシュフローを整えながら一時的に賃貸で貸出するなど動きは早い方が傷は浅く済みます。

高額の住宅ローン利用者を助ける者はいない?

ここで非常に酷なお話をすると、衣食住に関わるサービスというのは基本的に、何かあった際『基本的な生活』は確保してくれると国は約束をしてくれています。

しかし、平均よりもはるかに乖離したアッパー層には非常に厳しいのです。

例えば、30代で5000万円以上の住宅ローンを組んで生活困窮した場合、所得が高いため「ダウングレードすればいいじゃないか(住み替え)」と簡単に言われてしまいます。

8000万円を超える物件で、一般大衆車でユニクロ、スーパーのセール商品ばかりという方は皆無で、ブランド品や輸入車の保有率が高い傾向にあります。

そのため、「まずはキラキラしたもの外して、軽自動車に乗り換えな」と貸す時は優しかった融資担当もそっぽを向くのです。

一方2000万円アンダーの住宅ローンの場合、一般大衆車で中古車を乗っていて、通勤や仕事でなくてはならないとなると職を失うリスクに繋がります。

回りくどくなりましたが、日本は『最低保証』の国なので、今回の住宅ローン破産についても高所得者の方が破産裏リスクが高いと言えます。

今からマイホームを買う世代は変動?固定?買わないのもあり?

当然の心理として、今からマイホームが欲しいと思う世代はどうやって家を買おうかと悩むはずです。

少し不動産経済を理解していれば、買い渋り時代になり売り逃げ物件が市場を乱入してくると地価や不動産価格も急落しかねないと考えるのです。

そうなると、変動金利か固定金利かの前に、『買うのをやめておく』という選択肢に優位性を感じるのかもしれません。

不動産価格は下がるが、金利が上がると購入物件は下がる

これもいざ、文章にして気づくことですが、金利が上がれば当然ながら総支払額が増えます。

つまり、同じ予算なのに買える物件だけが下がるということになります。

もっと言えば、同じ返済額でも元本が減る率が減るとも言えます。

さらに、頭金が金利に圧迫され、融資額の1/3ほど入れないと元本に直接作用する(月々の返済額やボーナス払いの減額)ことがなくなるのです。