『エクイティ』になぜ稼ぐ投資家が注目するのか

『エクイティ』になぜ稼ぐ投資家が注目するのか

『エクイティ』になぜ稼ぐ投資家が注目するのか

エクイティという言葉は一部の投資家やM&Aなどを生業とするビジネスマンの間でしか聞かなかった時代が長くありました。

近年ではエクイティファイナンスという言葉が浸透し、PEファンドを利用した投資家も少しずつ増えてきたことで皆さんの目に止まるワードになったのではないでしょうか?

エクイティファイナンスやブランドエクイティ・プライベートエクイティなどを投資の機会に繋げるにはエクイティ自体を知り、飲み込み消化する必要があると言えます。

今回は『エクイティ』がどのような使われ方をする言葉なのかを解説し、どのように経済圏でお金を動かしているのかをお伝えしていきます。

エクイティファイナンスとは?

エクイティファイナンスは簡単に言えば、株式を発行しその株式を資本担保として投資家へ出資を募ることです。

一般的な融資や借入とは異なり、調達した資金は返済義務がないことが特徴です。

そのため株式投資をしている方であれば、『公募増資』『私募増資』などの情報をプレスリリースの情報で見たことがあると思いますが、転換社債型新株予約権付社債(CB)や優先株の発行などを含めてエクイティファイナンスと呼ばれます。

エクイティとは?

元々エクイティ(Equity)は、衡平法として法律用語として用いられていました。

他にもカジノなどでは勝率という意味合いで使われています。

投資家やビジネスマンがエクイティという言葉を用いる際は『株主の資本』という意味合いで用いられ、資本の増資や財務の健全かつ成長性を高めるきっかけという意味で使われます。

『エクイティ』が用いられる投資用語

ブランドエクイティとは?

ブランドエクイティは、ブランドバリューに担保性を認め、投資家が出資したり、金融機関が評価することを言います。

他にも、『ルイヴィトンだから・レクサスだから・リッツ・カールトンだから』という付加価値が資産として認められることを言う場合もあります。

プライベートエクイティ(投資)とは?

プライベートエクイティは成長余地はあるものの資金不足などの要因で成長が妨げられている企業などに出資を行い、株価を上げた後に売却し運用益を出す投資手法です。

PEファンドとは?

PEファンドは『Private Equity』の略でファンドが投資家から資金を集め、未上場の企業へ投資をします。

その投資によって株価を上げ、インカムゲインを回収し投資家に還元させるファンドです。

エクイティファイナンスとデッドファイナンスの違い

一般的な借入や融資というのがデッドファイナンスだと考えるとイメージはしやすいはずです。

簡単に言えば、社債を発行したり、銀行などの金融機関から資金調達を行い、元本の返済と利息の支払い義務を負う資金調達の方法です。

なぜエクイティファイナンスは返済する必要がないのか

お気づきだと思いますが、エクイティファイナンスは発行した株式を株主に出資金と交換するスキームです。

エクイティファイナンスでは投資家は配当金を得られます。

デッドファイナンスでは投資家は利息収入を得られます。

投資家にとってエクイティファイナンスにメリットはあるのか

大きく稼げるのはエクイティファイナンスでの出資

投資家は配当金でも利息でもどちらもインカムゲインとして成立すればいいのではないか?

そう考える場合もあります。

しかし、エクイティファイナンスで重要なのは出資したお金の代わりに得た『株式』を売却しキャピタルゲインを大きく稼ぐことができるため、出資する企業への将来性があれば、エクイティファイナンスでの出資を選びたいのです。

投資家は配当によるインカムゲイン

出資することで得た株式売却によるインカムゲイン

両方を狙いにいきます。

エクイティファイナンスで出資する投資家はこの先、この企業の株価がこの出資やプロジェクトで上がってもらわないと元本割れするともリスクがあります。

財務・会計におけるエクイティファイナンスとデッドファイナンスの違い

貸借対照表・バランスシートでエクイティファイナンスとデッドファイナンスでは大きな違いがあります。

エクイティファイナンスは資金調達した資金自体に返済義務が生じないため自己資産・自己資本となり、『純資産の部』で計上ができます。

これは非常に大きなメリットで、グロース企業の多くは企業分析のスコアが落ちると投資家の懸念材料となり、他の事業での融資などが受けにくくなる可能性があるためです。

通常のデッドファイナンスでは、ご存じの通り『負債の部』で借入金として計上するため、固定比率が悪くなることになります。

逆に、デッドファイナンスであれば、資本金として増えるのではなく会計上は負債なので、法人税率や中小企業投資促進税制などの枠を気にする必要はありません。

エクイティファイナンスを利用しない企業への評価

これも簡素化して言えば、エクイティファイナンスのように株式を発行すればするだけ経営権や買収への免疫が落ちるという部分に留意する経営者もいます。

つまり投資家から見ると保守的であり安定した企業と判断されることにもつながります。

エクイティファイナンスの社会的問題点

近年、株主や投資者の利益を損ないかねないエクイティファイナンスが実行されている例もあります。

国内株自体がリーマンショックや昨今の感染症問題・地政学的リスク・円安などで株価が下落基調であるため、保有株式の売却によるインカムゲイムが得らにくいサイクルになっています。

さらに、エクイティファイナンス実行後に株式を売却されぬように経営戦略を立てるケースもあり、株主の優位性が今までよりも揺らいでいるというのも事実です。

さらに、既存の株主からすると、新規の株式発行を企業にされると株式自体の希薄化繋がり、株価にも影響を与えるという問題も起こっています。

エクイティファイナンスによる投資は儲かるのか

投資家にとってリスクは高いがリターンは大きく狙える

エクイティファイナンスは成功すれば、インカムゲイン・キャピタルゲインで大きな利益を得ることが可能です。

企業も株式を安易に希薄化させたくないという考えもあり、外国ではエクイティファイナンスの利用率や流通資本の量が多いですが、日本では浸透はまだまだしていないというのが現実です。(参考下記図)

出典元:PitchBook、IMF

日本の投資家自体が元本割れを嫌い、インカムゲインによる確実な収益率を確保したいという部分でもエクイティファイナンスを利用する企業が相対的に少ないとも言えます。