私たちがMMT理論をわかりにくいと感じる理由

私たちがMMT理論をわかりにくいと感じる理由

MMTとは?

MMTは「Modern Monetary Theory」の略で『現代金融理論』とも呼ばれています。

現代貨幣理論の結論は日本であれば日本銀行などの中央銀行を保有する場合、財政破綻をすることはありえない。ということを論述しています。

なぜMMTはデフォルトを起こさないと言えるのか?

日本・イギリス・アメリカなど自国通貨を発行できる政府(通貨発行権を保有)と自国通貨を発行できないギリシャやイタリアなどの国があります。

その中で、自国通貨を発行できる政府と中央銀行があれば、自国通貨での国際の発行はデフォルトのしようがないということです。

つまり、いくらでも好きなだけ国債を発行してもデフォルトはしない=どれだけ借金しても破産しない国と論じることができます。

デフォルトとは?

デフォルトとは(=債務不履行)

民間で言えば、代金支払いや買掛が払えない状態です。

借りたお金が返せない、子や返済期限などが守ることができない状態になったことです。

国は財政危機として、国が破綻する状態を言います。

政府と国民のMMT論による不可思議

財政赤字が今日注目され、危機感を感じていた国民

ここで、日本の借金や財政赤字は日本を破滅させるとあらゆるメディアや政府が言ってきたことです。

そのため、財政赤字の逼迫に対する対応策は私たちの経済を鈍化させるきっかけにもなっています。

しかし、MMT論が正式な政府財源や国の財政に適応する論述ならば、今までのプロセスは何だったのか?と疑問を感じます。

それに加え、国や政府の運営(経営)はフリーランスや企業、ビジネスをする上でイメージすることが難しいため、MMT理論が陰謀のような扱いや反日的な思考とまで揶揄されるケースもあります

日本の財政赤字の現状

日本の財政赤字の現状は、令和2年度は感染症の拡大の影響もあり税収は55.1兆円、歳出は175.7兆円で、それを埋めるべく国債発行が112.6兆円行われ過去最大の財政赤字となっています。

 

私たちがMMT理論をわかりにくいと感じる理由

そもそも、前述通り企業経営や商売、日常生活において借金やローンをして返さなくても大丈夫、ということがないからです。

収入と支出の差額は常に黒字化していないといけない。

それが私たちの日常の大前提だからです。

しかし、

社債が自社が発行している通貨であれば当然、MMT理論と同じことを考える経営者は出てくるでしょう。

借りたものは返す、赤字は危険、ダメ、悪という固定概念が当然私たちにはあるため、理解がしにくいのです。

あらためて、なぜMMT論では『破産・デフォルト』が起きないのか

私たちの日常生活には、自国通貨を発行できる仕組みがないからこそ破産をしてしまいます。

政府や国の運営の場合は自国通貨を発行できる(通貨発行権)中央銀行があります。

国は自国通貨を発行できるという特権があり、国民には自国通貨を発行できる特権はない。

下記の表を見ていただくと図解されているので、参考にしてみてください。

バランスシートで見る国債とMMT理論

銀行が国債を購入するため貸出を行うと、直ちに同額の預金が創造されると考えます。

このスキームで言えば銀行は、何もないところから1億円の預金通貨を得ることになります。

〇〇社が□□銀行から1億円の借入金をすると〇〇社に渡すわけではなく、〇〇社の口座に1億円と記帳するだけのスキームが完成してしまうのです。

つまり1億円という現金は動いておらず、紙面上のキャッシュフローなのです。

出典元:政経電論『なぜ財政赤字が悪いのか?伝統的経済・財政学とMMT理論比較』より

マネタリーベースとは?

マネタリーベースとは、「日本銀行が世の中に直接的に供給するお金」のことです。

具体的には、市中に出回っているお金である流通現金(「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」)と日本銀行当座預金(日銀当座預金)の合計値です。

マネタリーベース=「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」+「日銀当座預金」引用:日本銀行HPより

デフォルトした国と『しない』とされる国の差

前述した自国通貨の発行できないユーロ加盟国のギリシャとイタリアは、なぜ自国通貨の発行ができないのでしょうか?

元々は自国通貨を保有していたギリシャやイタリアですが、自国の法定通貨を放棄した歴史があるためです。

つまり、ユーロ建ての国債は発行できますが、自国通貨のユーロは国が自由に発行できないため、相殺フローが完成しないのです。

過去にデフォルトした国=外貨建て国債を発行している

過去のデフォルトでいうとアルゼンチンは、外貨建て国債が原因です。

外貨を保有できない状態、焦げついた場合は自国発行権がなければ対処はできないためデフォルトします。

つまり、

デフォルトを起こすかどうか=自国通貨権があるかどうか

と言えるのは確かとも言えます。

ちなみに、過去に自国通貨の国債を発行している国がデフォルトを起こしたことは一度もありません。

つまり、日本がいきなり「国債の返済なんてしないぞ!」と言わない限りはデフォルトは起きないと言えるのです。

相殺フローが完成しない=日本国民(会社)と同じ環境

ユーロという自国通貨が発行できない場合、国債はユーロにて発行するためユーロを国が商売をして確保するしかないのです。

もちろん、ユーロを確保できない(=私たちでいう給料や収入がない状態となる)状態になればデフォルト(破産)することになります。

ここで、金融リテラシーが高い方はある仮説を立てるかもしれません。

『日本は外貨で国債発行しているので?』と。

日本は100%自国通貨国債

日本が財政赤字でデフォルトを起こす可能性を、なぜか国民や理論を聞いた人は期待値に置きます。

なぜなら、自分の今までの固定概念や常識では、ありえないことだからです。

しかし、2002年に外国の格付け会社が日本国債の格付けを下げた時を思い出すと、またも仮説は打ち砕かれます。

財務省の公式声明でも「日・米など先進国の自国建て国債のデフォルトは考えられない。」

と言っているのです。

つまり、日本はやはりデフォルトしないことを明言しているのです。

それに加え、なぜ国債金利があがっていないこともエビデンスの一つとしてよく使われています。

解説:国債と国債金利のバランス

国債は市場を介さずに直接買い入れすることはできません。

そのため、金融資産が減っているなら国債金利は上げないと誰も買わない(引き受け)されないことになります。

島倉原氏制作のデータ引用

長期国債金利とは?

返済期間が長いお金を借りる時にかかる利率のことです。

日本では10年後に償還(返済)される国債の流通利回りが重要な指標となっている。(=10年国債)

ここまでMMT論のまとめと追記

日本の政府債務はGDPの 240%を超えた完全に借金漬けの国だというのは事実です。

円建て国債の40%は日本銀行が買い上げ。国内の銀行など金融機関が国債を買い込みを行い、実質的な市場介入をさせています。

つまり、常に自国通貨の国債発行は、自国通貨発行権によりリスクバランスされていることになります。

MMT反論も多い

「これ以上財政赤字を増やしたら、財政破綻する」と言い続けていますし、多くの国民もそう思っているはずです。

もちろん、国債と自国通貨発行だけの話なので、筆者の私もスキームとして理解はできますが、他の事象と同時進行した場合、MMT理論による永続的な国債発行・借金を重ね続けることを良しとする習慣は不健全であり、自転車操業感は否めないと感じています。

現職の黒田東彦日本銀行総裁はMMT理論を

「理論としてきちんとした体系になっていないので、批判・反論も難しいのです。ご承知のよう に、欧米の著名な経済学者は全て、これを極端な議論で全く採ることを得ないと言っておられます。私も、理論 がきちっとしていないということもありますが、やはり極端な議論で適切なものとは思っておりません。」

と酷評しています。

MMT理論と税金

MMT理論で言えば、国債はいくらでも発行すれば良い、財政赤字など机上の数字とも捉えてしまいそうになります。

しかし、もちろん国債発行や財政赤字自体に危惧はあり、必要な分だけ紙幣を刷れば現金の価値は下がるためインフレを超えるインフレ、スタグフレーションやハイパーインフレの可能性です。

スタグフレーションが起これば、収入が増えない状態で増税しても、国民の困窮化が深刻になるため、MMT理論でいう増税などの対策はあくまでも国民に景気の良さを感じてもらえるところまで発展するかどうかが問題だと言えます。

少なくとも、MMT理論が全否定されるだけのエビデンスはなく、MMT理論を理解しておくことで外貨や国債に関係する資産運用の知識源にしてもらいたいと思います。

参考図書

高額書物で翻訳は少し残念ですが、筆者は政治学が専門の学者が民主主義の構造が財政赤字にどう影響を与えているかを解説しています。

ちなみに、この本はフランス、ドイツ、イタリア、スウェーデン、アメリカ、韓国、日本の7カ国を対象にしていて、外国為替などの予備知識としても有益性があります。

財政赤字の国際比較 民主主義国家に財政健全化は可能か [ 井手英策 ]

この記事の筆者である私が『MMT』について深く知識を得た1冊

MMTによる解説が現在の経済の仕組みにおいて私たちがどれだけ、金融リテラシーがどれだけ脆弱かを知らしめるものとなります。

この本一冊で、『金融』の疑うべきポイントも気づけるはずです。【筆:熊崎】

MMT現代貨幣理論入門 [ L・ランダル・レイ ]

 

 

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