お金持ちがコンパクトカーに乗る・買う理由
お金持ちという社会的なポジションにはいくつかの種類があります。
例えば、成金タイプ・地主タイプ・億万長者タイプ・サラリー系お金持ちという具合です。
どのお仕事や職業・ポジション問わず、お金は平均的な収入や貯蓄より上であることは間違いないというのが『お金持ち』です。
その中で、今まで数々のお金持ちや富裕層のクルマ事情をお話してましたが、新風として『コンパクトカー』に乗る・買う・所有する富裕層・お金持ちが年々増えていることについてお話していきます。
富裕層・お金持ちのステータスSUV
現在自動車業界は『SUV/SAV』というカテゴリーのシェアが高く、ほとんどの自動車メーカーでSUV化したモデルや新カテゴリーの車種を発売しています。
その中でも人気なのが、国産車で言えばトヨタのハリアー、レクサスのRX、輸入車でいうとメルセデスベンツのGLC/GLE、BMWのX5/X6、アウディのQ5/Q7などが代表的です。
ハイエンドではマセラティのレヴァンテやベントレーのベンテイガ、ロールスロイスのカリナンなど今までSUV導入をしていないメーカーまで飛び火しました。
そして、その上をいくとも言われるミニバン『アルベル』ブームも存在します。
アルベルブームとは?
トヨタ・アルファード・ヴェルファイアの頭文字を取ったミニバンブームです。
SUVブームがクルマの平均サイズを大きくした
このSUVブームが引き金となり、車格と言われるクルマのボディーサイズは年々大きくなり、Cセグメントセダンでも1800mmを超えるという状況になりました。
そのため立体駐車場型のマンションで、1800mm以内に収めたいという顧客層への提案車種が大幅に減少したのも事実です。
成金気質の無い億万長者から派生したコンパクトカーブーム
そこで登場し始めたのがコンパクトカーに乗る富裕層・お金持ちです。
特に億単位の現金資産を持ち、社会的な評価やマウントを取らずに十分ビジネスが成り立つようなお金持ちがコンパクトカーを買い始めたのがきっかけです。
BMWのエンジンを積むようになったMINIやBMWのM2などゴーカート感覚で一人ドライブを楽しめるクルマにメーカーが予想しなかった層が『食いついた』というところから始まります。
しかし、元々コンパクトカーやホットハッチと言われるハイチューンナップされたモデルは、あくまでも走り重視で乗り心地はお世辞にも良いとは言えませんでした。
そのためメルセデスAMGでいうA35・45とAクラスのハイスペックモデルの併売、BMWで言えばM2とM235(M240)、アウディでもRS3とS3の併売が続きました。
日本の制限速度と高級車の矛盾
ここで、年配のお金持ち・富裕層が自分で少し買い物に行くためのクルマを選びに行くと、シートがスポーツシートで、3000ccを超えるエンジンを一般道で必要とするのか?
という問題に直面したのでした。
そして、年配のお金持ちや富裕層、億万長者が購入したのが『プリウス』『アクア』『ノート』『デミオ』『フィット』だったのです。
コンパクトカーはお金持ちが大好きな要素が集結
コンパクトカーである代表格『プリウス』『アクア』『ノート』『デミオ』『フィット』に共通して言えることは燃費の良さ、そしてシンプルであるということです。
尚且つ、クルマには『クルマ』を求めるという、故障しにくく乗りたい時に乗れて常に磨き上げる必要のないカジュアルな『足』です。
大きなクルマを空箱で乗るお金持ちはステータスを感じるのか
空前のSUVブームはさらに車格を大きくし7人乗りが登場しレクサスのLXやメルセデスベンツのGLS、そしてミニバンのアルファード(ロイヤルラウンジ:現在販売終了)などは金額で言えば1000万円を超え、快適でステータス性溢れるモデルが多くあります。
基本的にお金持ちの家ほど家族1台クルマがある状態で、夫がメルセデスのゲレンデヴァーゲンを乗り、妻がポルシェの911に乗り、娘がMINIに乗る、それに加え家族全員で旅行に行く際のアルファードという戸建て富裕層のクルマ事情は想像がつくはずです。
しかし、そんなお金持ちの夫はある日、自分の会社の営業車に乗り気付くのです。
『なんて運転しやすくて、快適なクルマなんだ』と。それがプリウスやアクア・デミオであることも多いですし、旅行先のレンタカーであるノートやフィット、どちらにせよコンパクトカーなのには間違いはないのです。
ステータスよりクルマに乗る目的
お金持ちとクルマの関係性というのは医者が輸入車に乗る理由と同じように、理由は多く考えられます。
節税や安全性、社会的な地位の確立(ステータス)が主に考えられます。
しかし、億万長者でもユニクロにニューバランスを履く人が多いように、移動手段として不便ないものというミニマリズムの発想が出てくるのです。
大きなクルマに乗る必要はあるのか?
大きなクルマに乗るというステータスや購入意欲というのは、2つの視点から考えられます。
- 大きな家と同様に、大きなクルマは経済的余裕・ステータス性が視覚的にわかりやすい
- 大きなクルマ=居心地の良い室内空間が得られる
という点でしょう。
しかし、これらを全て覆すのが『日本の道に車格は合っているのか』という部分です。
片側2車線の道で、片方は路上駐車やバス、ウーバーイーツを含めロードバイクが走り、一般道での巡航は実質1車線であり、日本の土地面積上、駐車場も狭く立体駐車場の規格を考えるとオーバーサイズなクルマばかりが販売され、道を走っていると言えるのです。
大きなエンジンを積む必要はあるのか?
それに加えて、数年前のクリーンディーゼルブームからマツダのスカイアクティブをはじめ、エコカー感覚で乗れるディーゼル車、そしてテスラなどの電気自動車、最後に一般的なガソリン車。があります。
もちろん、ハイブリッドモデルのガソリン車も多くありますが、国産車で言えばレクサスの3500ccモデルは既に一般道では力を出しきれず、ハイブリッドバッテリーとのコンビネーションエンジンは輸入車でも5000ccのクルマと同じエンジン出力があるものもあります。
しかし、日本の高速道路のほとんどは制限速度80kmで一般道においては40km指定が多いエリアも多くあります。
つまり、2000cc以上のエンジン出力が必要なシーンというのは物理的に考えでほぼないのです。
輸入車や高級車である必要はあるのか?
これに加えて、小さくエンジンの小さなクルマで『ラグジュアリー』『高級車』『輸入車』のハッチバックモデルまで行き着く思考はわかります。
しかし、そもそも高級車と呼ばれるカテゴリーのブランド力がコンパクトカーに必要なのか。
というところにまで考えが行きつくと、いよいよ国産のコンパクトカーが候補に上がってきます。
高級車や輸入車でのハイスペックコンパクトカー
- メルセデスベンツAクラス
- BMW 1シリーズ
- audi A1
- MINI 5ドア
- レクサスUX(CT)その他FIAT ・アバルト・アルファロメオなども候補になります。
本革張りシートである必要はあるのか?高級オーディオやサウンドシステムはいるのか?
そもそもコンパクトカーで長時間の運転は滅多にないとすれば、レザーシートです不要で合皮のコンビネーションシートでも十分だと感じるはずです。
レクサスなどが得意とする、静寂性も車重が軽いクルマに大きなインチサイズのタイヤを履かせると乗り心地やロードノイズが気になりはじめます。
そのため、もはや『適度』な静寂性があれば十分でマークレビンソンなどの高級オーディオを入れる必要もないと考えてしまうでしょう。
こうしてどんどんと削られていった結果、コンパクトカーに億万長者や富裕層・お金持ちが選び始めたきっかけと言えます。
運転手付きハイヤーとお金持ち
お金持ちには種類があると前述したように、後部座席を最優先とするクルマは社会的になくならないニーズです。
多くのお金持ちはまだまだ社内で運転手を雇ったり、外部にハイヤー契約をしています。
運転手付きのハイヤーをお金持ちが好む理由
これは最優先として『移動中も仕事ができプライバシーが確保できる』こと、そして運転中のトラブルを回避するリスクヘッジが理由とされています。
そこで従来であればセンチュリーやメルセデスベンツのSクラスロングボディやレクサスのLSがハイヤーとして主流でした。
しかし、近年のミニバンブームでアルファードを運転手付きハイヤーに選ぶお金持ちが増加しました。
それには鳳凰のエンブレムバッジや黒塗りセダンというステータス以上に快適な後席空間がアルファードにはあったからだということです。
つまりブランドバリューやステータスより快適性を選ぶ思考が既に始まっているのです。
黒塗りハイヤーは自分で雇うものではない
黒塗りハイヤーと言えばセンチュリーで、ベンツのSというもイメージに強いと思いますが、実はクラウンや日産のフーガなどもハイヤーとして人気です。
この雇い先・発注は法人であり、エグゼクティブ(役員)の送迎のための支出であり、経費です。
つまり見栄にこだわらなければ、自分が出社する時に黒塗りハイヤーである必要はないのです。
さらに言えば、創設者でありオーナー社長はその経費すら、自分の身銭を削る思いのため特に贅沢なクルマを選ばない傾向もあります。
アルファードのハイヤーでもロイヤルラウンジどころか、エグゼクティブラウンジのグレードすら選ばない億万長者の経営者も多くいます。
億万長者が気にしない二度と合わない人への見栄
億万長者と言われる人たちは人目を気にしないことが、『普通』のお金持ちの差だと言えます。
社会的な地位やマウントなどせずとも一生暮らせていくだけのお金を持っているため、他人より自分の快適性を優先します。
もちろん、それと同じ思考で、スーツである必要性も考えれています。
『キチン』としていると思われる必要がなくなったのも、この今の億万長者時代の特徴です。
つまりキチンとしているかどうかは、他人が判断することであって、通帳や口座の残高で勝負すれば勝てる。
影響力があるという人からすれば、他人にお伺いを立てる必要すら問われるのです。
そのため、すれ違う2度会うことのない人へ見栄を張り高級車をハイヤーにする必要はないと考えるのです。
海外セレブがプリウスに乗る理由
手短に言えば、プリウスを海外セレブで乗ったのはレオナルド・デカプリオ氏が記憶に新しいです。
レオナルド・デカプリオ氏は見栄ではなく環境問題の点から、いち早くハイブリッド車やEV車を所有してきました。
テスラなどの電気自動車に乗り始めたのもレオナルド・デカプリオ氏は早かったです。
コンパクトカーで運転手付きは億万長者
今後急増が見込まれるお金持ち・富裕層のコンパクトカー所有が、どのように影響を出すか。
今以上にお金持ちがお金持ちらしくなくなり、高級車で大型のクルマをプライベートで乗っているのは一般所得者という逆相関が強くなります。
それに合わせて、コンパクトカーにダイヤ巻きや金無垢の腕時計もアンマッチになり、ますますお金持ちの『支出』が減っていくことになります。
それは最終的に、お金持ちはよりお金を余らせ、一般的な所得の人ほど支出が増えることになります。
格差を大きくしてしまうのはお金持ちのコンパクトカーブーム到来の時かもしれません。
助手席には座らない経営者
コンパクトカーを購入して自分で運転するか?というジャッジもお金持ちや富裕層の悩みになるはずです。
そこで、運転手をコンパクトカーに乗せ、自分は左の後部座席に座り助手席を前に倒して乗ることになります。
しかし、必ずここで驚くはずです。
今まで乗っていたレクサスやメルセデスベンツなどのビッグセダンと、後部の広さは変わらないということです。
ショーファーパッケージが付いてオットマンまで付くようなロングボディに乗る方は、別としても通常のLSやSクラスとであればホンダの軽自動車NBoxの方が後ろの空間は断然広くリクライニングの角度もあることをお金持ちほど知らないのも事実です。
お金持ちにとってコンパクトカーは魅力『無駄嫌い』
見た目や無駄な装備が付いていないというのはもちろん、経費の節約にも大きく貢献します。
節税と言えば中古車の3年落ちを一括で落とせる、というような仕組みは経営者やクルマの営業マンはご存知のはずです。
しかし、結果として言えるのは、高級車の車両入れ替えは『目立ちやすい』のです。
税務署も国税庁も高級車の3年落ちで値が張るものは、チェックをしているものです。
もちろん、車検の登録情報もわかるため、桁の変わるような高級車を乗り替え続けて、赤字で決算を挙げればどこからその購入費が出てきたのか?と誰しも疑問を感じるはずです。
痛くもない腹を探られたくない、疑われたくないという考えのお金持ちからすれば、コンパクトカーは最高のパートナーであり、考える方によってはいくらでも新車で買ったコンパクトカーを有効に使う方法は考えられるはずです。