高齢ドライバーの事故が多発している中で、幼い子供の命や大怪我を負わせてしまったという事故が散見されます。
そこで注目されるのは加害者が『高齢者ドライバーだった』ということだけで、1台目に接触したクルマや壊した縁石、ビルや建物はどうなるのか。
そして、加害者の家族に対して責任や賠償はないのか。
今回はそんな『高齢ドライバー』の事故事情をお話ししていこうと思います。
親が高齢ドライバーであり、家族で自動車を共有している場合が一番危険です。
高齢者ドライバーを見て見ぬふりはできない法律上の話(ここだけを読んではいけない)
法律上の交通事故が刑事事件に発展することは高齢者ドライバーの事故では稀です。
民事上の問題となり、基本的には交通事故を起こした当事者間での問題という考えになります。
しかし・・・
高齢ドライバーの事故、保険では加害者家族は守られない
家族が高齢ドライバーによる事故で責任に問われることは『ある!』
家族が高齢者ドライバーが使える家族共有のクルマの鍵を玄関などに置き、いつでも運転できる状態にしていた場合に責任が発生するリスクがあります。
高齢者ドライバーの事故で『運行供用者責任』に家族が問われる
運行供用者責任とは
運行供用者とは,加害者のクルマについて使える権利を持っていて,クルマを利用することによって利得(便利だと思っている)を得ている者のことです。
要するに、高齢者ドライバーに「駅まで向かえにきて」「牛乳を買ってきて」などと、クルマを使用する用事を頼んだ側にも事故の責任があるということです。
ここで確認しておく必要があるのは、事故をしたクルマが事故を起こした加害者本人が『所有しているもの』であれば運転供用とはされにくいです。
高齢ドライバーの事故、保険で被害者は守られない
高齢者ドライバーが30代の男性を死亡・後遺障害にさせたら、3億以上の損害賠償
損害賠償の決定には複数の考え方がありますが、基本的に死亡・後遺障害状態だと現在の所得をベースに生涯働いた時に稼ぐ金額が損害賠償の金額になることが多いです。
そして、その被害者側の家族構成上非必要となる金額や慰謝料なども請求されるため1人あたり3億〜5億円の支払い請求をされる可能性が十分あります。
高齢ドライバーの事故が多発、加害者・被害者が守られない時代
高齢者ドライバーの事故に対して保険会社は対策を練っているのか
三井住友海上では月額850円でGK見守るクルマの保険(ドラレコ型)を販売しています。
この保険では。一定以上の衝突完感知で通報するシステムが採用されており。高速道路の逆走や車線をはみ出して走行した際のアラームなども付いています。
そのほかには安全運転支援アラートというシステムもあります。
多くのサービスが付いているように見えますが、自動車自体に元々付いている機能も多く事故が起きてしまう現場では、してシステムや機能があっても使いこなせていないというのが実情だと言えます。
高齢ドライバーの事故が多発、自動車保険はどう新しくなるのか
高齢者ドライバーに対するそのほかの保険会社のサービス
東京海上日動:ドライブエージェントパーソナル(月額650円)
・衝突感知で保険会社の事故受付センターへ自動連絡機能、ドライブレコーダーの記録送付
・運転時のリアルタイム注意喚起
・安全運転診断レポート機能
損保ジャパン日本興亜:THEクルマの保険DRIVING!加入型(月額850円)
・事故発生時にALSOKが30分以内に駆けつける
・車間距離検知
・接近注意アラート
あいおいニッセイ同和損保:タフ・見守るクルマの保険(ドラレコ型)(月額850円)
・事前に設定したエリアを超えた場合にGPS機能で家族へ通知するシステム
・運転診断レポートをつき単位で配信
ソニー損保:ソニー損保の自動車保険「優しい運転キャッシュバック」型(保険料7%UP)
・アクセルとブレーキの使用状況に応じてキャッシュバックを行う
・急ブレーキ・急発進に対するアラーム
高齢ドライバーの事故が多発、自動車保険では加害者・被害者はまだ守られない時代
保険会社は事故の未然対策へ手薄感あり
上記の高齢者向けの自動車保険に対して、共通点は事故が起これば通報されたり、アラームがなるということです。
耳が遠くなり、反応が鈍くなった身体でアラームが鳴った時に、高齢者ドライバーはどのような対応ができるのでしょうか。
『アラームも聞こえにくい、鳴ったことに気づかない。』ではほとんど意味がないのです。
家族ができる『高齢ドライバー』への保険の備え
高齢ドライバーとなった家族は現時点では、事故を起こした際に誠心誠意賠償に応えることしか保険ではできないと言えます。
もちろん、ドライブレコーダーをつけることは自己防衛になるのでつけることをお勧めします。
高齢ドライバーの事故、自動車保険では加害者・被害者を守る時代へ
高齢ドライバーへ勧める保険内容
- 『対人・対物への無制限の補償』
- 『対物超過修理補償特約』
- 『個人賠償特約』
- 『弁護士特約』
の4つは必要だと言えます。
対人対物は自賠責保険でも一定レベル守られますが、当てたクルマの修理代が乗っているクルマの価値を上回る際に保険金はそれ以上支払われません。
その際対物超過修理補の特約をつけることにより修理代を補償してもらうことができます。
もちろん、自分自身のケガなどに対して補償を追加する必要性もありますが、まずが第三者へ損害を補償することが最優先だと言えます。
自動車保険での個人賠償特約と弁護士特約
個人賠償特約では、損害賠償請求をされた際に、うけることのできる特約です。
それに併せて弁護士特約に加入しておくと、示談交渉や請求事項を弁護士が代理して起こってくれるため必要だと言えます。
高齢ドライバーの事故を無くすための唯一の手段は『免許の返納』
地方はどうしてもクルマ社会と呼ばれ、一人一台のクルマが必要だとされています。
しかし、年齢を重ねるにつれて早期の免許返納が唯一、高齢ドライバーの事故を減らす強行的な対応だと言えます。
「まだ乗れる」「近所だから」その心の緩みが幼い子供の命を奪うリスクに繋がるのであれば、早期の免許返納も選択肢に入れるべきだといえるでしょう。