今、一流の経営者が考えていること。売上より先に考える会社の未来

今、一流の経営者が考えていること。売上より先に考える会社の未来

今、一流の経営者が考えていること。売上より先に考える会社の未来

経営者は毎日、いろいろなことを考えています。

売上。

利益。

採用。

資金繰り。

営業。

新商品。

もちろん、どれも重要です。

しかし2026年現在、世界の経営者の関心を調べていくと、もう少し大きな変化が起きていることが分かります。

一流の経営者ほど、

来月いくら売るかだけではなく、5年後にこの会社は何をしている会社なのか

を考え始めています。

なぜなら、経営の前提そのものが変わり始めているからです。

AIを導入するか、という議論はすでに終わりつつある

少し前まで、

ChatGPTを使うべきか。

Geminiを導入するべきか。

生成AIは安全なのか。

という議論が中心でした。

しかし先を走る企業では、論点が変わっています。

AIを何に使うかではなく、AIがいることを前提に会社をどう設計し直すか。

ここまで進み始めています。

例えば営業部門なら、

営業資料をAIに作らせよう

だけではありません。

顧客をAIが分析する。

商談前の企業調査をAIが行う。

議事録をAIが作る。

CRMをAIが更新する。

フォローアップをAIが行う。

見込み客をAIが判定する。

ここまでできるのであれば、

そもそも営業部は今の人数、今の役割、今の業務フローでいいのか。

という話になります。

これはAI導入ではありません。

会社の再設計です。

人を何人採用するかではなく、人間に何をさせるか

人手不足になる。

だから採用しなければならない。

これまでなら当然の発想でした。

しかしAI時代には、その前に一つ質問が入ります。

その仕事、本当に人間を採用する必要がありますか?

例えば一人辞めた。

すぐ一人採用する。

ではなく、

その人がやっていた仕事を全部分解する。

20%は不要。

30%はAI。

20%はシステム。

残り30%を既存社員へ再配分。

そうすると、一人採用しなくてもいいかもしれません。

重要なのは人員削減ではありません。

むしろ、

人間にしかできない仕事へ、人間の時間を戻す

という発想です。

これからの経営者は人数ではなく、

人間
AI
ソフトウェア
外注

をどう組み合わせるかを考えるようになります。

AIの費用ではなく、AIを使わない費用を考える

経営者から、

ChatGPTに毎月数千円払う価値がありますか?

と聞かれることがあります。

もちろん費用対効果は重要です。

しかし経営者が本当に計算すべきなのは反対側です。

AIを導入しないことで、毎月何時間失っているのか。

例えば従業員50人が、一日30分の非効率な作業をしているとします。

50人 × 0.5時間 × 月20日

月500時間です。

年間なら6,000時間。

AI利用料だけを見て、

高い

と判断するのではなく、

何もしない場合に失われ続ける6,000時間と比較する。

経営者の投資判断は、この考え方に変わっていくと思います。

AIを入れれば儲かる、とは考えていない

ただし、AIに詳しい経営者ほど、

AIを導入すれば会社が儲かる

とは考えていません。

ここは非常に重要です。

2026年のPwCの世界CEO調査では、AIによってコスト削減と売上増加の両方を実現できたと回答したCEOは、まだ12%でした。

つまり、多くの企業がAIへ投資している一方、

投資しただけでは利益になっていない。

だから経営者の関心は、

AIを導入しました

から、

AIで何円生み出しましたか

へ移っています。

生成した文章の数でもありません。

ChatGPTの利用人数でもありません。

削減時間。

削減コスト。

営業成約率。

顧客単価。

利益率。

開発期間。

最終的には数字です。

売上より生産性を見る

これは日本企業にとって特に重要だと思います。

人口が減る。

働く人も減る。

人件費は上がる。

社会保険負担もある。

採用コストも上がる。

そうなると、

100人を120人にして売上を20%増やす

という成長だけでは難しくなります。

これから重要になるのは、

100人のまま売上を120%にできるか。

さらに言えば、

90人でも同じ価値を提供できる仕組みを作れるか。

これはリストラという意味ではありません。

一人の人間が生み出せる付加価値を増やすということです。

AIやDXは、そのための手段になります。

自社のビジネスモデルは5年後も存在するのか

そして一流の経営者ほど怖がっているのは、

今年の売上が10%落ちること

だけではないと思います。

もっと怖いのは、

自分たちが売っているもの自体が必要なくなることです。

例えば前回書いた営業の話です。

商品説明。

見積書作成。

営業資料。

顧客調査。

問い合わせ対応。

こうした仕事がAIに置き換われば、

営業支援サービスを提供している会社にも影響します。

翻訳会社。

制作会社。

広告代理店。

コンサルティング。

システム会社。

士業。

教育。

人材紹介。

ほぼすべての産業で同じ問いが発生します。

AIを自社業務にどう使うか。

その前に、

AIによって自分たちの商品が必要なくならないか。

こちらを考える必要があります。

自社の競合が同業他社とは限らなくなった

これも大きな変化です。

建設会社の競合は建設会社。

保険会社の競合は保険会社。

コンサル会社の競合はコンサル会社。

これまでは業界という境界線が比較的明確でした。

しかしテクノロジーによって、その境界が曖昧になっています。

AI企業が教育へ入る。

金融企業がITへ入る。

IT企業が医療へ入る。

メーカーがソフトウェア企業になる。

実際、2026年のPwC調査では、42%のCEOが過去5年間に新しい業界へ参入したと回答しています。

さらに大型買収を計画しているCEOの44%が、自社とは異なる業界への投資を想定しています。

つまり経営者は、

同業他社に勝つ方法

だけではなく、

突然、別業界から競争相手が来たらどうするか

を考えなければならなくなっています。

世界情勢を経営に入れる

そして2026年の経営では、もう一つ無視できないものがあります。

地政学です。

戦争。

関税。

エネルギー価格。

為替。

半導体。

サプライチェーン。

経営者が国際政治まで見る必要がある時代になっています。

例えば円安になれば、

輸入原材料が上がる。

海外SaaSが高くなる。

クラウド費用が上がる。

海外旅行だけの問題ではありません。

逆に輸出企業には追い風になる場合があります。

関税政策が変われば、昨日まで利益が出ていたサプライチェーンが成立しなくなる可能性もあります。

2026年5月のEY調査では、世界のCEOの56%が今後12カ月の最大の事業リスクとして地政学的不確実性を挙げています。

もはや、

政治は政治。

経営は経営。

とは分けられません。

現金をいくら持つかではなく、会社の購買力をどう守るか

これは以前書いた お金の価値 の話にもつながります。

インフレが続けば現金の購買力は下がります。

円安になれば海外の商品やサービスを購入する力も低下します。

だから経営者は、

預金が3億円あるから安心

だけではなく、

その3億円で5年後に何が買えるのか

まで考える必要があります。

現金。

設備。

人材。

株式。

不動産。

研究開発。

M&A。

AI。

どこへ資本を配置するのか。

資本配分そのものが経営戦略になる。

これは大企業だけではなく、中小企業でも同じだと思います。

データを会社の資産として考える

AI時代には、もう一つ大きな資産があります。

データです。

顧客情報。

過去の見積書。

施工記録。

議事録。

マニュアル。

営業履歴。

商品情報。

社員が持っているノウハウ。

これまで、

Google Driveに置いてあります

社内サーバーにあります

というだけだったデータが、AI時代には会社の競争力になります。

逆にデータがぐちゃぐちゃなら、

AIを導入しても使えません。

だからこれからの経営者は、

人
物
金

だけではなく、

データとAIを経営資源として管理する

必要があります。

サイバーセキュリティはIT部門の問題ではない

AIやDXが進めば進むほど、会社はデジタルに依存します。

その結果、

サイバー攻撃
情報漏洩
ランサムウェア
アカウント乗っ取り
シャドーAI

などのリスクも大きくなります。

2026年のPwC調査では、サイバーリスクを大きな脅威として挙げるCEOは31%まで上昇し、84%が地政学リスクへの対応として全社的なサイバーセキュリティ強化を計画しています。

つまり、

セキュリティは情シスに任せています

ではなくなっています。

会社を止めないための経営課題です。

一番重要なのは、変化に対応できる会社を作ること

ここまで、

AI
人材
為替
地政学
データ
サイバーセキュリティ
ビジネスモデル

といろいろ書きました。

しかし私は、これらを全部まとめると、一流の経営者が考えていることは一つだと思っています。

何が起きても変われる会社を作る。

AIが進化したら変える。

円安になったら変える。

人が採れなくなったら変える。

顧客ニーズが変わったら変える。

新しい競合が来たら変える。

これから最も危険なのは、

判断を間違える会社

以上に、

正解が変わったのに、以前の正解を続ける会社

なのかもしれません。

5年後から逆算して、今日何をするか

一流の経営者と普通の経営者の違いは、

未来を正確に予言できること

ではないと思います。

AIが5年後どうなっているか。

ドル円はいくらなのか。

どの仕事がなくなるのか。

誰にも正確には分かりません。

重要なのは、

未来が分からないことを前提に経営しているか

です。

だから、

AIを小さく試す。

社員を教育する。

データを整理する。

固定費を見直す。

新規事業を実験する。

複数の収益源を作る。

資金を確保する。

既存事業が好調なうちに次を仕込む。

こうしたことを少しずつ進める。

売上が落ちてからDXする。

人が辞めてから自動化する。

競合がAIを使い始めてからAIを勉強する。

では遅い。

今、一流の経営者が考えていること

結局、今の経営者に必要なのは、

今年いくら儲けるか

だけではありません。

この会社を5年後にも必要とされる会社にできるか。

そのために、

何をAIへ渡すのか。

人間には何をさせるのか。

どの事業を伸ばすのか。

どの事業をやめるのか。

どこへお金を使うのか。

どんな人材を育てるのか。

どんなリスクに備えるのか。

そして、

今の会社そのものをいつ作り替えるのか。

一流の経営者ほど、現在の延長線上だけで未来を考えていないのではないでしょうか。

今の会社をどう守るかではなく、

次の時代でも勝てる会社へ、どう変えていくか。

2026年の経営で問われているのは、AIを使えるかどうかよりも、

変化することを経営そのものに組み込めるかどうか

なのだと思います。