営業がいらなくなる時代。AIに置き換わる営業、最後まで残る営業とは

営業がいらなくなる時代。AIに置き換わる営業、最後まで残る営業とは

営業がいらなくなる時代。AIに置き換わる営業、最後まで残る営業とは

営業という仕事はなくなるのでしょうか。

私は、

営業そのものはなくならない。しかし、営業マンがやっている仕事のかなりの部分はAIに置き換わる

と考えています。

これまで企業では、

商品を説明する
見積書を作る
顧客へメールする
アポイントを取る
提案資料を作る
問い合わせに答える
商談内容を記録する
次回の連絡を忘れないよう管理する

こうした仕事をまとめて営業と呼んできました。

しかしよく考えると、この中には人間である必要がない仕事が大量に含まれています。

生成AIやAIエージェントが普及すると、

営業という職種そのものが、もう一度分解される

のではないでしょうか。

商品説明をするだけの営業はいらなくなる

例えばパソコンを購入するとします。

以前なら店舗へ行って、

どのパソコンがいいですか?

と店員に聞きました。

しかしAIに、

予算20万円、仕事で生成AIとOfficeを使う。持ち運ぶので軽いほうがいい。ゲームはしない

と伝えれば、候補を比較できます。

保険でも、

この保険にはどんな補償がありますか?

という質問ならAIが約款やパンフレットを読み込んで説明できます。

法人向けソフトウェアでも同じです。

料金
機能
導入条件
他社製品との違い
メリット・デメリット

といった情報を説明するだけなら、AIのほうが速くなる可能性があります。

つまり、

情報を持っていること自体が営業マンの価値だった時代は終わっていく。

これはかなり大きな変化だと思います。

営業資料を作る仕事もAIへ移る

営業には見えない事務作業が大量にあります。

商談前に企業を調べる。

会社概要を確認する。

業界動向を調べる。

PowerPointを作る。

提案書を書く。

見積書を作る。

商談後に議事録を書く。

CRMへ入力する。

お礼メールを送る。

次回提案を考える。

生成AIが得意なのは、まさにこの領域です。

例えば商談を録音しておけば、

AIが文字起こし
↓
議事録作成
↓
顧客課題抽出
↓
提案内容整理
↓
CRM入力
↓
お礼メール作成
↓
次回提案資料のドラフト作成

までつなげることができます。

営業マンが商談後に会社へ戻って1時間作業していたことを、AIが数分で処理する世界です。

アポイントを取る仕事も自動化される

営業メールも変わります。

企業情報をAIが調査し、

この会社にはこの課題がありそうだ

と仮説を作る。

担当者に合わせたメールを作る。

返信内容を分析する。

日程調整する。

オンライン会議のURLを発行する。

CRMへ登録する。

これらもAIエージェントとの相性が非常に良い領域です。

これまで、

100社調べて
100通メールを書いて
返信を確認して
スケジュール調整する

ためには人間の時間が必要でした。

AIなら、この限界が大きく変わります。

すると、

営業人数と営業活動量の関係が崩れます。

営業10人だから10人分の営業活動しかできない、という常識ではなくなるわけです。

御用聞き営業はかなり厳しくなる

さらに影響を受けるのが、

何かありませんか?

と定期訪問する営業です。

昔は意味がありました。

顧客側が情報を持っていなかったからです。

新商品が出ました。

制度が変わりました。

こんな商品があります。

他社ではこうしています。

営業マンが情報を運ぶ役割を持っていました。

しかしAIは24時間質問できます。

しかも、

過去の契約
購入履歴
社内規程
商品情報
市場情報

などを参照できるようになれば、

営業マンに聞く前にAIへ相談する

という行動が増えていきます。

そうなると、

情報を届けるだけの営業の存在価値は急速に小さくなります。

比較する仕事もAIがやる

営業で非常に大きいのが比較です。

A社とB社、どちらがいいのか。

プランAとプランBの違いは何か。

購入とリースではどちらが得か。

AIはこのような比較を非常に得意とします。

さらに将来的には、

買う側のAIと売る側のAI

が交渉する可能性もあります。

企業側のAIが、

予算500万円以内
このセキュリティ要件を満たす
納期3か月以内
既存システムと連携可能

という条件を設定する。

販売企業側のAIが商品、価格、納期を提示する。

条件を比較して候補を絞る。

つまり、

営業マンが営業する相手が人間ではなくAIになる

可能性すらあります。

これはBtoB営業にとって非常に大きな変化です。

では営業マンはいらなくなるのか

私はそうは思いません。

むしろ逆です。

AIによって営業作業がなくなるほど、

本当に営業ができる人の価値は高くなる

と思っています。

なぜなら営業の本質は、商品説明ではないからです。

例えば経営者が、

DXを進めたい

と言ったとします。

AIならDXサービスを100個紹介できます。

しかし本当に必要なのは、

そもそもDXが必要なのか
どこから手を付けるのか
社員は受け入れるのか
予算はいくら使えるのか
誰が責任者になるのか
失敗したらどうするのか

まで考えることです。

場合によっては、

今はシステムを入れないほうがいいですよ

と言う必要もあります。

ここに人間の営業の価値があります。

最後まで残るのは課題を発見できる営業

顧客自身が課題を理解している仕事はAI化しやすいと思います。

例えば、

この商品の価格を教えてください

なら簡単です。

しかし、

最近なんとなく会社の利益率が悪いんですよね

という相談は違います。

原因が、

営業なのか
人件費なのか
在庫なのか
業務フローなのか
組織なのか
ITなのか

顧客自身にも分かっていない。

ここで必要になるのは、

答えを出す能力より、正しい問いを作る能力です。

これはコンサルティング型営業に近い。

これから価値が高くなる営業は、

商品を売る人

ではなく、

顧客と一緒に何を解決すべきなのかを定義できる人

だと思います。

人間関係も簡単には消えない

もう一つAIが簡単には置き換えられないものがあります。

信用です。

特に、

不動産
M&A
金融
保険
経営コンサルティング
大型設備
システム開発

など、金額やリスクが大きい取引では、

スペックが良いから買います

だけでは決まりません。

この人なら任せられる。

問題が起きたときに逃げない。

こちらの事情を理解してくれている。

社内調整まで手伝ってくれる。

こうした信用が意思決定に影響します。

AIが商品を100点満点で比較できても、

最終的に誰と仕事をするか

という判断には、人間関係が残るでしょう。

営業マン100人が10人になる、ではない

AIの話になると、

100人の営業部隊が10人になります

という議論になりがちです。

私は少し違うと思っています。

100人が10人になる企業もあるでしょう。

しかし、

100人がAIを使って300人分の営業活動をする会社

も出てきます。

こちらのほうが重要です。

AIで、

企業調査
リード分析
資料作成
メール
議事録
CRM入力
フォローアップ

を自動化する。

営業マンは、

商談
ヒアリング
課題発見
提案
交渉
関係構築

に集中する。

すると一人の営業マンが担当できる顧客数が増えます。

営業部門の生産性そのものが変わります。

一番危ないのは新人営業かもしれない

ただ、ここには大きな問題があります。

これまで新人営業は、

リストを作る
電話をかける
資料を作る
議事録を書く
先輩に同行する

という仕事から経験を積んできました。

ところが、その仕事をAIが全部やってしまったらどうなるでしょう。

企業からすると効率的です。

しかし、

将来のトップ営業をどう育てるのか

という問題が発生します。

これは営業だけではありません。

プログラマー。

会計士。

弁護士。

コンサルタント。

デザイナー。

多くの専門職で同じ問題が起きると思います。

AIが初級業務を奪うことで、

初級者が中級者になるための仕事まで消えてしまう。

AI時代の人材育成では非常に重要な論点です。

AIに置き換わる営業と、残る営業

整理すると、AIに置き換わりやすいのは、

商品説明
企業調査
リスト作成
営業メール
アポイント調整
提案資料作成
見積書作成
議事録
CRM入力
定型フォロー
商品比較

といった仕事です。

逆に残りやすいのは、

課題発見
経営者との対話
複雑な交渉
社内外の利害調整
信頼関係構築
意思決定支援
責任を伴う判断

です。

こうして見ると分かります。

AIが奪うのは営業ではありません。営業の中にあった作業です。

営業という職業から営業という能力へ

そして私は、ここからもう一つ面白い変化が起きると思っています。

営業部だけが営業する時代が終わるかもしれません。

AIが資料作成や顧客管理を補助してくれるなら、

エンジニアが直接顧客と話す。

コンサルタントが直接提案する。

経営者が直接発信する。

専門家がSNSやnoteで顧客を獲得する。

ということが容易になります。

つまり、

営業部門

という組織の重要性が下がる一方で、

営業力そのものは全社員に必要になる。

そんな逆説的な時代になるかもしれません。

営業がいらなくなる時代に、一番必要なのは営業力

AIは商品を説明できます。

AIはメールを書けます。

AIは提案書を作れます。

AIは顧客を分析できます。

AIは見積書も作れます。

では人間は何をするのでしょうか。

相手の話を聞く。

本人も気付いていない問題を見つける。

複数の選択肢から決断を助ける。

利害を調整する。

そして最後に、

この人と仕事をしたい

と思ってもらう。

私はこれから、

営業マンは減っても、営業力の価値はむしろ上がる

と考えています。

AI時代に消えるのは、

営業という仕事ではありません。

人間がやる必要のない営業作業です。

そしてその作業がなくなったとき、

これまで営業と呼ばれていた仕事の中から、

本当の営業力だけが残る。

営業不要時代とは、営業がなくなる時代ではなく、

営業という仕事の本質がむき出しになる時代

なのではないでしょうか。